Hiroのボードゲームあれこれ

アメリカをはじめとした海外のボードゲーム紹介・ショップ訪問記、ゲーム製作記をつづります。

海外バイヤー視点で見た、ゲームマーケット出展者がするべきこと

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はじめに

ゲームマーケットが近づいてきました。出展者・来場者のみなさんは情報チェック・準備で忙しくなって来る頃かと思います。私は一人静かにニューヨークから広報活動をしております。

 

さて、以前フランスのパブリッシャーとお話することがあり、そこでそういえば「海外バイヤー視点で見た、ゲームマーケット出展者がするべきこと」を話したのでした。

 

手前味噌ではありますが、私のサークルはゲームマーケットがきっかけで世界デビューしています。2015年に作ったボードゲーム「ピクテル」がゲームマーケットでスカウトされ、現在、世界24ヶ国で販売されています。同人で作ったゲームがここまでくるとは、メンバー自身も思っていないことでした。これは、色々なタイミングで幸運に恵まれたという側面もありますが、自分たちがゲームマーケットで行った対策の成果だと捉えることもできます。

 

日本のアナログゲームを、もっともっと世界に広めたい。アメリカに移住し、ヨーロッパを旅する機会が多くなった今、さらに強く思います。今回、ゲームマーケットが近づいていることもあり、自分の知見もあわせ、海外バイヤー視点で見た、ゲームマーケット出展者がするべきことを、お気に入りの3点アプローチ「展示方法・コミュニケーション・情報整備」でまとめ、公開します。

 

ボードゲームの海外展開を考える皆さまをはじめとして、日本国内のユーザーに対する普及方法を今一度考えるタイミングにもなればと思います。 

 

概要

「海外バイヤー視点で見た、ゲームマーケット出展者がするべきこと」の概要は以下です。 

当日の展示方法

1.箱を開けてコンポーネントを展示

2.英語の紹介を一文でもいいから書く

コミュニケーション

1.積極的に話しかける

2.ツールに頼って「話す」を「書く」にシフト

情報整備 

1.ゲームマーケット公式サイトに掲載

2.HPやTwitterアカウントを作成

3.Board Game Geekに情報を載せる

 

これらを具体的に説明します。

当日の展示方法

1.箱を開けてコンポーネントを展示

ゲームマーケットでは、ゲームの箱を開けず、パッケージだけを展示しているサークルを見かけます。まず、これは今すぐやめた方がいいです。なぜなら、外国の方にとって、日本語で書かれたパッケージは、タイトルでさえも読めないからです。

 

我々が英語を第2言語として学んできたのとはわけが違います。漢字・ひらがな・カタカナ(装飾あり)で複雑なタイトルから、何が読み取れるのでしょうか?

 

ジャケ買い」という言葉がありますが、海外展開を狙っているサークルならその狙いはありえないでしょう。自分が投資して販売する対象を見つけにきているのに、ビジュアルだけで決めるのでしょうか?答えは否です。試遊卓があるからOK?いやいや、海外バイヤーに試遊卓まで見て回る時間はありません。

 

この点の対策としては「販売ブースで、箱を開けてコンポーネント(コマやカード・ボード)を展示する」でOKです。

 

2.英語の紹介を一文でもいいから書く 

次に、英語でそのゲームの紹介文を書いてください。ルール概要や、英語のサマリー(ルール要約)があるとなお良いです。当日、ブースにあることが重要です。英語で書かれてるか不明なものを、いちいちバイヤーはネットでアクセスして一個一個見ません。「どんなジャンルのゲームか」という一言だけでも構いませんので、ゲームの近くに書いてください。ピクテルであれば「Guessing Game」や「Communication Game」となります。自分のゲームは特別だといいたくなる気持ちもわかりますが、カテゴライズは重要です。小さなコンポーネントなのに「Strategy Card Game」などとあると、バイヤーは「シンプルなのに深い戦略性があるのかな」と気になる、とおっしゃっていました。見た目だけでは、ジャンルさえもわからないわけです。これだけなら、きっと今からでも間に合いますのでぜひやってみてください。

 

コミュニケーション

1.積極的に話しかける

接客行為において、日本人は静か・消極的すぎます。アメリカ人よりも静かと言われているフランス人よりさらに、です。ゲームマーケットでは、海外のお客さんが来た場合に、黙ったり、あたふたしている方を見かけます。何がそうさせているのかな?と考えた時「こんな英語でいいのかな?」「英語ができないから、間違って伝わったらどうしよう」と思うからではないでしょうか。

 

ことヨーロッパ・フランス人など、英語が母国語ではない人は、いわゆる英語が「ネイティブ言語」ではないです。そのため、カタコトの英語でも、向こうもカタコトの英語を話すわけですから、遠慮はいらないわけです。また、日本のゲームマーケットに来ている時点で、好き好んで日本語圏にきているわけですから、販売者に求める英語のハードルは相当下がっています。ですので、恐れずに英語で話してください。

 

2.ツールに頼って「話す」を「書く」にシフト

日本の英語教育の結果として「話すより書くほうが得意」な人が9割以上を占めると思います。これをネガティブにとらえずポジティブに捉え、話すことを書く方向にシフトすればいいわけです。具体的に何をするかと言うと、メモを用意して書いて伝える、事前に簡単な英語のメモを書いておく、名刺を用意しておきその後はメールでやりとりする、などです。コミュニケーションは何も会話だけではないので、うまく「書く」にシフトチェンジすることも必要です。我々もメールのやりとりで具体的な製品化の話を進めましたよ。

 

コミュニケーションは、個人的にはかなり重要だと思っています。民族性もありますが、ここを変えると劇的に海外展開のチャンスが増えると思っています。今一度、高い出展料を払い、多大な労力がかかっているゲームマーケットの出展の意義「ゲームを売るため、自分たちを知ってもらうため」を思い出し、臆さずコミュニケーションしてみてください。

 

情報整備

最後は、ネット上の情報整備です。このIT社会において、インターネット上に情報がないボードゲームは、かなり損しています。ゲームマーケット出展者が増える中、どのようなサービスで情報を整備すれば良いか、というところまで書いてみます。

 

1.ゲームマーケット公式サイトに掲載

まず、ゲムマ公式サイトには必ず情報を載せましょう。あふれんばかりのゲーム情報が掲載される中に載せて意味あるの?と思うかもしれませんが、幸いサイト内フリーワード検索もあるので、気になるユーザーは、ダイレクトに文字列で検索してくれます。Google検索でいいじゃん、とお思いのあなたは甘い。Googleは「ドメイン」の強さで検索結果表示順を決めるので、小さなサークルの小さなHPは検索上位に表示されないんですよ。そのため、ドメインの強い「ゲームマーケット公式サイトに情報を載せる」ことに意味があります。

 

2.HPやTwitterアカウントを作成

続いて、公式HPやSNSアカウントを作成します。無料ブログやサイトが作れるサービスも充実しているので、やらない手はないです。体感として、FacebookInstagramよりTwitterユーザーが多いので、SNSを始めるのであれば Twitterをお勧めします。Twitterの運用や広報の手法はまた別記事で。

 

3.Board Game Geekに情報を載せる

先日こんなことがありました。米国のボードゲーム会で私が日本のゲーム名を言うと、Googleで検索した後、BGG(Board Game Geek)でアルファベットで打って検索してくれました。もちろん日本語のキーボードなんてないので、ローマ字検索です。そこでももちろんヒットしないので、ふーん、で終わってしまいました。

 

何が言いたいかと言うと、同人ゲーム作者・プレイヤーの皆さんには、作り出した作品や遊んだゲームを、臆さず情報をBGG(Board Game Geek)にアップして欲しいのです。「英語で登録するなんてハードルが高い」とお思いでしょうか?いまやブラウザにテキスト翻訳機能があるので、テキスト形式なら日本語で公開する、で良いのです。HPがあるなら、登録したゲームデザイナーやゲーム内容の場所に、HPへのリンクを貼るだけでOK。これだけで全然違います。その後の行動はユーザーが考えます。まず入り口をたくさん増やしてください。

 

 まとめ

「海外バイヤー視点で見た、ゲームマーケット出展者がするべきこと」を、まとめてみました。今一度、要点だけまとめます。

 

当日の展示方法

1.箱を開けてコンポーネントを展示

2.英語の紹介を一文でもいいから書く

コミュニケーション

1.積極的に話しかける

2.ツールに頼って「話す」を「書く」にシフト

情報整備 

1.ゲームマーケット公式サイトに掲載

2.HPやTwitterアカウントを作成

3.Board Game Geekに情報を載せる

 

おわりに

米国に住んでると、日本の同人ボードゲームが全く遊べないし、知られてない事をいつも残念に思います。ユーロゲームにも日本由来のゲームが多いからか、現地のゲーマー達は島国である日本にとても興味を持っています。だけど彼らは日本のゲームを知るすべがあまりにも無い。そんな彼らにとって、ゲームマーケットは夢のような1日です。 

 

ゲームマーケットという個人アナログゲームが大量に試遊・遊べる恵まれた環境にいる日本のみなさま。

 

「Better than Nothing.」私の好きな言葉です。何もしないより何かしよう。

 

今からでもできるゲームマーケット対策。今一度、1つでも取り入れてもらえたら幸いです。 地球の裏側から、ゲームマーケット成功を願っています。

 

おまけ

今回のゲームマーケット2018春は、日本にいるメンバーと作った新作「サバンナスマイル」を5/5(土)C-05ブースで出展します。詳しくはこちら。そろそろ実物がメンバーのもとに届く頃。肝心の自分のブースでできてないと恥ずかしいので、メンバーにも今回の記事のことを意識するよう伝えます(笑)

 

最新情報はTwitterでつぶやいています。

ボドゲイム@ゲムマ春(土) C05新作発売 (@bodogeimu) | Twitter

 

ではでは!

 

人気記事はこちらから。過去最大にバズった記事。

hirobodo.hatenablog.com

 

普段は、ニューヨークのボードゲームショップ紹介を行っています。

01. Barnes&Noble

02. the Uncommons

03. Amy's Hallmark Shop 

04. ToysRus Express

05. The Compleat Strategist

06. Forbidden Planet

07. Dinasaur Hill

08. Game Master Games

09. The Brooklyn Strategist

10. Staples 

11. Mcnally Jackson

12. Hex & Company

13. Comic Comics & Games