Hiroのボードゲームあれこれ

アメリカをはじめとした海外のボードゲーム紹介・ショップ訪問記、ゲーム製作記をつづります。

ゲームマーケット接客マニュアル

はじめに

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年に3度、ゲームマーケットというボードゲームの祭典があります。ここでは、多くのボードゲーム製作者・愛好家が集まり、ボードゲームを売ったり買ったりします。

 

現在筆者はアメリカにいます。が、日本にいた頃、ゲームマーケットには毎回販売員として参加していました。サークル内では、デザインの作業も行いますが、主に広報とイベント運営を担当しています。60人規模のゲーム会も主催していたため、接客には自信があります。 (ボードゲーム会のノウハウはこちらをどうぞ)

 

昨日、海外展開を見越して、ゲームマーケットでするべきことという記事を書きましたが、海外展開うんぬんがなくとも、ゲームマーケットにおいて接客は超重要です。最低限のマナーとも言えます。当サークルも、接客を全くしなければ売り上げは減っていると思います。

 

そこで今回はゲームマーケットの「接客」に特化した接客マニュアルを書いてみました。他のメンバーの想いとはちょいと違うところもあるかもしれませんが、販売をやっていた頃の私の想いは 『遊んだことのない人にも、できるだけ手にとって買ってもらう』なので、それを踏まえた販売テクニックを言語化してみた初めての試みです。

 

過去、ゲムマ大阪で知人に接客・販売を依頼した際のメモから起こした記事です。ちょいちょい「おいw」となることも書いてますが、具体性と空気感を落とさないため、そのまま公開します(笑)どうぞ軽い気持ちでご覧ください。

 

概要

本記事のガイドラインです。

  • ブースへの導入(客寄せ・発声・笑顔・観察)
  • レベル感に合わせた説明(各Q&A式で)
  • ブースだけでなく売り場全体を使う(試遊卓・限定商法・呼び戻しなど)

1.ブースへの導入


・客寄せ
「良かったら手にとってご覧ください〜」とクリアカードを何枚か差し出すと、触りにきてくれる人が多い。コンポーネントがキャッチーな強みを生かせ。

 

・発声
「いらっしゃいませー!どうぞご覧くださいませー!」をたまに発して通行人に存在を意識させる。いつもより高めの声で。顔は見えてなくても笑顔で。マジ顔で出してる声と、口角上げて笑顔で出してる声は全然違うことを頭に入れておく(アパレル友人談)

 

・笑顔

笑顔第一。マジ顔NG、なんのメリットもない上に怖い。終始笑顔、これだけで勝てる。次期ゲーム制作のこととか難しいことは、ブース立ってる時に考えるな。Twitterに「あのブースのお姉さん可愛かったね」って次へのモチベーションあがることを1件でも多く言われるように、笑顔を振りまけ。

 

・観察

ブースにくる前に、お客さんの属性を事前に見て情報収集。属性によって話し方、内容を変える。荷物の持ち方とかリュックとか服装とか。買ってるゲームからも人間性を推測する。ゲーム会で培ったコミュ力を今使わないでいつ使うの。攻めの待機

 

2.レベル感に合わせた説明

上記「観察」とブース誘致が成功したら、質問をされます。ここで次なる試練は対応力です。具体的なQ&A集の一例を書きます。

 

★(黙って近づいてきてくれた場合)

属性に合わせた一言目を発する。すでに何かゲームを買っていたら、そのゲームについてのコメントなどもOK。その反応から、次の一手となる質問を考える。

例→「あっ!ウボンゴ良いですね〜今年の目玉ですもんね!」「そうなんですよ〜。ほんとは他のゲーム買う予定だったんですけど、思わず(笑)」「え、他のゲーム何狙ってたんか?」(のように続いていく)

 

★可愛い♡(コンポーネント褒めてくれてる)
褒められたら謙遜せず素直に感謝を伝える。自分も思ってることは素直に共感し理由も添えて口に出す。肯定だけだと話が繋がらないので、できれば付加情報を一言添える。

例→でしょー!ピクテルは基本的な色だったんですけど、ピクテルlightはピンクとか紫増えてカラフルになったんです〜♡

 

★あ、タモリ倶楽部に出てたやつだ!
メディア露出から知ってくれた人は親近感で押せ!くだけた様子で親近感を出す

例→あ、見ていただけましたか、ありがとうございますー!すぐyou◯ubeにあがったんで私も見ました!笑

 

★これどんなゲームですか?
回答一発目は端的に答える。1から10まで全部説明しようとしない。ここで次の質問挟んできたら、それに対応する。

例→これはピクテルという「クリアカードでお題を伝えるコミュニケーションゲーム」です。

 

★(1分ぐらい話して感触が良さそうな人にはルール詳細)
ゲムマ来場者にとっての1分はかなり貴重な時間。ゆっくりルール聞きたい人は1%と思え抑揚をつけた話し方、自己ツッコミを意識して話を飽きさせないように。

 

例→ピクテル説明:このダイスを二回ふって、テーマを決めます。(二回ふってテーマ表みる)偶数の〜4なんで〜テーマ『職業』ですね。出題者はこのテーマをみて、こっそりこの箱にお題をかきます。(消防士、とペンで書く)作成者はこのお題をみて、ここのカードを使って自由にお題を表現します。(ビル、炎、人、汗のやつ、とかで事前に作りやすいように置いておいて、その場で重ねていく)わかった人が早押しで「 爆発!」「それ職業ちゃうやん!」と言いたい放題言ってって、「消防士!」「正解!」となったら、出題者、作成者、解答者にそれぞれ1ポイントはいって、3ポイントとったら勝ち、というシンプルなゲームですね〜。(このぐらいをゆっくり話して1分)

 

★(ボケがウケた場合)

ゲーム説明中にボケがうけたり乗っかり質問してきたら、そこに対する派生ボケとピンポイントな解答をしていくことで、購入してくれる率が上がる。「面白い」という体験を売る。このときばかりは、ここはゲムマではなく吉本と思え。

 

★何人で遊べますか?
フレキシブルさを聞いて来てる人には、上限・下限どちらを聞きたいのか会話から察知する。わからなければ相手の反応を見て両方言う。1人で買いに来てたら下限から先に。

例→出題者、作成者、それ以外の人は解答者、なので、3人以上ですね(下限)一応6人なんですけど、ゲーム会とかだと10人とかでも全然遊んでますよ〜(上限)

 

★拡張版と普通のピクテル、何が違うんですか?
拡張オンリーの販売も忘れずに。予算的に拡張だけ買う人も多い。

例→ピクテルは、お題を決めるサイコロとホワイトボードになってる箱、ペン、基本的なカードが60枚入ってる基本セットなんですが、ライトはテーマ別のカードが30枚入ってる追加キットなんですよー。もしピクテル持ってないようでしたら、まずピクテルから買って、カードを足して遊ぶ感じです!ライトだけでも遊べます!

 

★ライト(拡張)だけでも遊べますか?
ルール的にも遊べるので「遊べます!」と一旦即答。まずポジティブな肯定から会話を始める。否定は厳禁。するとしても言い方に気をつけて、笑いながら。(30枚ぐらいサンプルで広げておいて)このぐらいで30枚なので、3パックあれば遊べますねー!(実際は本体があったほうがいいに越したことはないけど。)予算が足りない人もいるからそこは会話から判断。


★3作目の雪玉ゾンビ(過去作)は無いんですか?
他の作品を知ってくれてる人はかなりのファンであり潜在顧客。だが、ないものはない。委託先の売店情報を伝えるなど、誠実に対応する

例→今回ないんですよ〜(涙)イエサブさんでは残り少ないですがあって、今後台湾から発売されるんですよね。ピクテルライトはすごろくやさんでも通販でも販売してるので、そっちもよろしくお願いします!

 

Twitter見てます♡(SNS経由で来てくれた人への対応)
せっかくなので、会話から「何の人」として認識されてるか質問する。広報の刺さり方の確認。2016年は「タモリ倶楽部に出てたので知った」一色だったり、年ごとにきっかけが色々違って面白い。会話の糸口は多い方が良いが、この時ばかりは雑談モードに切り替え、癒しを。

 

販売ブースだけでなくゲムマ全体が売り場と考える

試遊卓誘導

買おうかどうしようか迷って長い間無言で立ち止まってる人には、本人に悪気がなくても後ろの人への販売機会損失になるので、言葉とジェスチャーで自然に試遊卓に誘導する。
例→試遊ブースがそちらにあるので、良かったら一度遊んでみてくださいね!

 

呼び戻しストッパー(上級)

試遊卓誘導もまた販売機会損失になるという考え方もある。冗談が通じそうな人にはあとひと押しの呼び戻しストッパーをかけておく

例→遊んで面白かったら戻ってきてこっちに買いにきてください!じゃないと私悲しんじゃいますよ〜!見張ってますからね〜(笑)

 

他ブース行く人には限定商法

在庫数が残り少ないことを伝える、限定商法はある一定数刺さる。ブースを離れても、また戻って来てくれる確率を高める。ゲムマ会場全体が自分の売り場と思え。

例→まだ残ってるかわかんないですけど、5時までずっと居るので、またブースにきてくださいね〜!

 

列の後ろの人にも積極的に話しかける 

パッケージを開けて展示していても、列の後ろだと見えない場合があるので、「サンプル」という言葉を投げておく。または手を高く挙げてピクテルのカード(コンポーネント)を見せる。

例→後ろのお客さんも良かったらサンプルあるのでどうぞ〜!

 

試遊卓での一言

ゲムマという戦場で、貴重な時間を割いて、遊ぶという体験をしてくれた人は貴重。遊んでそのままブースを離れてしまう人も多い。しかし、楽しい気分で帰って欲しいが、あくまで自分がゲームの販売員ということを忘れずに。赤字になって良いことはない。

感謝を伝え、買う気が10%以上ありそうな人には、ジェスチャーを含めて具体的に場所を伝え、販売ブースに再誘導する。

 

例→あちら(ジェスチャー)で販売してるので、よかったらどうぞ!

(場合により、委託販売の展開まで時間がかかることを伝える)

 

まとめ

本記事のまとめです。

  • ブースへの導入(客寄せ・発声・笑顔・観察)
  • レベル感に合わせた説明(各Q&A式で)
  • ブースだけでなく売り場全体を使う(試遊卓・限定商法・呼び戻しなど)

 

おわりに

個人的ゲームマーケット接客マニュアルを加筆・修正して説明しましたがいかがでしたでしょうか。今見返すと「お前はアパレル店員か?」みたいなことも書いてますが、少しでも笑ってゲムマ前に思い出して頂ければ幸いです。

 

明文化されていないボードゲーム周辺技術を言語化するのは楽しいなぁ。これからも何かトピックを見つけ次第書きたいと思います!

 

おまけ

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今回のゲームマーケット2018秋は、日本にいるメンバーと作った新作「ブンプ星人」を11/24(土)J-19ブースで出展します。詳しくはこちら。前回の記事に引き続き、肝心の自分のブースでできてないと恥ずかしいので、メンバーにも今回の記事のことを意識するよう伝えます(笑)

 

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普段は、ニューヨークのボードゲームショップ紹介、海外で訪れたイベントレポートなどを行っています。

 

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