Hiroのボードゲームあれこれ

アメリカをはじめとした海外のボードゲーム紹介・ショップ訪問記、ゲーム製作記をつづります。

Splotter Spellen(スプロッター)のゲーム紹介

Splotter Spellen(通称スプロッター)という個性的な出版社を知っていますか?

 

Splotter Spellen(通称スプロッター)は、一番知名度の高い作品では「フードチェーンマグネイト」の出版社として知られていますが、その他にも個性的な作品をたくさん世に生み出している、稀有な存在であるオランダの出版社です。出版社といっても、現在はオランダ人デザイナーの2人「Jeroen」と「Joris」が回している小規模の会社なので、デベロップや営業等も彼らが全て行っていると聞いています。

 

BGGのゲーム一覧はこちら。

boardgamegeek.com

 

近年リリースされている作品群の複雑性と唯一無二の個性から、これらのゲームからしか接種できない楽しさが確実にあります。その結果、問答無用で「出版社買い」「デザイナー買い」をする、というボードゲーマーたちを多数見てきました。

 

2021年からスプロッター作品の大ファンに会って遊ばせてもらったり、2023年にデザイナーに直接会ったりしたことも大きく寄与して、私もスプロッター作品の大ファンになりました。

 

このエントリーでは、私が遊んできた個性的なスプロッター作品をひとつひとつ紹介したいと思います。スプロッターの奥深さを理解するにはまだまだひよっこですが、実際に遊んだレビューから、少しでも作品の中核や雰囲気が伝わると幸いです。

 

スプロッターに関連するお知らせもありますので、最後まで読んでいただけると嬉しいです!

 

それでは紹介をはじめます!!

 

 

Food Chain Magnate

スプロッターゲームの中でおそらく一番メジャーなタイトルの通称「FCM」です。レストランの経営者(CEO)になり、従業員をうまく雇ってビジネスを拡大していきます。一番直近で遊んだので、ルールを詳しく説明してみます。

 

ゲーム開始時は、どの家も(何かを食べたい「需要」)という欲望がないので、まず広告を打ってこの「需要」を生み出します。例えば、上記の盤面で家にピザが置かれているのは、この家の人々は(ピザを食べたい!)と思っているわけです。これでレストランに来てくれる動機ができたわけなのですが、ここで重要になってくるのが「距離+価格」。この値が一番小さいレストランがお得なので、そこに来て食事を1回だけしてくれるのです。そのため、レストランからの距離が短い位置に家を立てたり、はたまた価格を下げたりして、どうにかお客さんに来てもらうわけなのです。終了時に最もお金を持っていたプレイヤーが勝ちなのですが、商品をうまく売るだけでなく、人を雇っているため給料の支払いを行い…と、まるで会社の経営を追体験しているかのようなゲームです。

 

「○○を一番早くプレイした」時にもらえる「マイルストーン」カードの能力がとても強く、その能力ありきの戦略を立てることが重要です。何度もプレイして、マイルストーンによる戦略の幅を理解してからが、このゲームの本筋とも言えます。

 

Food Chain Magnate: The Ketchup Mechanism & Other Ideas

また、フードチェーンマグネイトは「ケチャップ拡張」が発売されています。この写真の際は、新マイルストーンと、寿司・キムチの拡張ルールセット入りで遊びました。余談ですが、このタイトルである「ケチャップ・メカニズム」は、実は「Catch Up(キャッチアップ) Mechanism」(点数差が開いても、ゲームをうまく進めると、点数差を後半に詰めることができる)とかかっていると聞きました。「Runaway Leader Problem(ランウェイ・リーダー・プロブレム)」(一度誰かが加速し出すと、そこに追いつくのは厳しい)があるゲームと逆のメカニズムですね。実際に、基本版のみで遊ぶより、戦略が固定されておらず、RLPが起きにくいように感じました。それにしても、ウィットの効いた言葉遊びですね。

 

Horseless Carriage

2023年時点の最新作「ホースレスキャリッジ」は、日本語で「馬なし馬車」という、一体何を言っているのだ?というインパクトのあるタイトルです。それに加え、何度聞いても勘所が掴めない、スプロッター作品の中でも複雑なルールを持つ、配置計画ゲームです。BGGのゲームウェイトが5点満点中の4.26の数字からも、このゲームの複雑さを見て取れます。

 

車を製造するために必要なパーツタイルを個人ボードに配置し、うまく製造できたら需要に合わせて共通ボードにプロットして販売します。メインのパズル対象となる個人ボードと、売る車の数が決定する共通ボードがあり、どちらにも神経を張り巡らせ、緻密に計算しない限り、一切点数が取れない仕組みです。シビアすぎる配置ルールの存在により、2023年に発売された感じが全くせず、当時初めて遊んだ際の感想は「人類には早すぎる」でした。決められた枠内に配置しろと言われている訳ではなく「どこに何を置くべきか」のガードレールも一切ありません。しかしそこがゲームの自由度を押し上げ、他にないプレイ感を生み出していると感じます。また「需要を読む」箇所が先読み能力を要され、計画が失敗しても「いや、それ来るのわかっていたはずですよね?」と突き放されプレイヤーの責任となるシビアさです。その厳しい様が、このゲームの魅力なのかもしれません。

 

Duck Dealer

2008年に販売された作品「ダック・ディーラー」です。宇宙を旅して資源をより良いものに変換し、資源を売却して勝利点を稼ぐ、資源管理とピック&デリバーのゲームです。あひるを魔改造したりキャンディに青いペンキ塗って薬に合成したり、テーマで見ると(宇宙で一体何をやっているんだろう…)となること請け合いです。

 

移動や合成のためのアクションポイントをコツコツ貯めていくフェーズと、それを一気に消費するフェーズのコントラストが他にないユニークさです。資源管理のゲームではコツコツ下位の資源を集めるところから始めるイメージですが、こちらはさらにその前に「アクションポイントをコツコツ貯めるフェーズ」があるわけです。フェーズが多いため、人数が増えるとテンポがやや悪く冗長なゲーム展開となり、新鮮さを味わいほどよく終わるには3人がベストかと思われます。他のスプロッター作品の尖り方に比べるとまろやかな味ですが、それでもアクションポイントをキューブで貯蓄する様は、次に出てくる「BUS」を少し想起させます。

 

BUS

スプロッター作品の中で「フードチェーンマグネイト」の次によく知られていると思われる作品がこの「バス」です。「ワーカープレイスメントの始祖」と言われているBUSの昔の版です。(なお余談ですが、こちらの作品を「初版」だとツイートすると、スプロッターガチ勢の方から「これは厳密には3版」と言われるという豆知識を書いておきます(笑)。現在はキャップストーンゲームズから再販されています。

 

さて具体的な内容ですが、自分の色のネットワーク網を作り、ラウンドに応じたアイコンの場所に人を運ぶ、ピックアップ&デリバリーのゲームとなっています。写真右上にある黄色いスリップの「ワーカープレイスメント」部分は、自分のキューブを置いていくことによりそのアクションを行うのですが、そのバランスが本当に良くできています。あちらを立てればこちらが立たず、今どのアクションにキューブを投資すれば良いのかが悩ましいです。

 

Antiquity

プロットゲーム「アンテクィティ」です。共通ボードの開拓地に細かいチップを載せて自分の領地を広げていきます。このゲームジャンルのカテゴライズは難しいですが、もしカテゴライズするとしたら「シビライゼーション」でしょうか。2-3人がベストとされている、個性的な重量級ゲームです。

 

スプロッターお得意の、個人ボードの建物パズルも健在です。木を早々に枯らし、ワインしかない状態で何もできず詰み、墓まみれになって終わった爆笑エンド。

 

スプロッター作品の中でも群を抜いた、ガードレールの一切ないゲームです。仲の良いメンバーや、初プレイ時にはアドバイスをしてくれる経験者と一緒にプレイすることをオススメします。

 

Cannes: Stars, Scripts and Screens

通称「カンヌ」です。カンヌ映画祭で上映するためにフィルム撮るというテーマがとても良いです。資源を生み出し、それを引っ張ってきて他の資源を醸成する様は、Roads&Boatsのお手軽版のような感覚です。あと、特筆すべきは、渋い手書きのグラフィック。わざと塗りの荒さを残した水彩画のようなタッチがとても味があります。

 

王道でしっかり重みのあるR&Bの体験には及ばない気がしますが、90分程度で気軽に遊べるネットワーク構築&デリバリーゲームとして、よくできていると思います。

 

プチ情報として、このゲームは「物理制限」のあるゲームとしても知られています。トレイやサプライが置いてある場所には、タイルをおけないのです。「初期配置による配置制限」が設けられることにより後半部分の選択肢が大幅に減りゲームが収束しています。意図されたデザインかどうかはさておき、アナログゲームならではの良さが存分に生かされてますね。

 

Ur:1830BC

遊ぶ前、18勢からもスプロッター勢からも良い評価を何故か聞かなかった「ウル:1830BC」。18xxをプレイしたことのあるボードゲーマー向けに記載すると、株の代わりに土地を買い、列車運行の代わりに運河から土地に配水します。プライベートカンパニーや、ラウンドトリガーによる列車の廃車まであり、完全に18xxの一種です。株の概念が入ったバラージとも言えるでしょう。個性的スプロッター味は依然健在。3人戦で3時間ほどのプレイ感ですが、ちゃんと18xxの味もします。18xxにおける、誰がどれだけ株を持っていたり現金を持っていたり…という緻密な情報戦なのに対し、こちらはマップに会社が分散しているような形で、ヘクス数(=株券数)を見てどの割合でどの会社があるのかをパッと判断するのが難しいです。ただ、そこがガチガチの18にはない揺らぎを産んでいるように感じます。スプロッター作品と18xx、どちらも大好きな筆者は、本作品はスプロッター作品の中でベスト3に入るほどの名作だと感じています。

Spöl

1999年に発行された、激レアカードゲーム「スポール」。Spölはカードゲームの意味のようです。自分の手番で、山札から2枚ドローし1枚手札に入れ、その後何枚かをプレイします。他プレイヤーによる「高得点のカードを1枚捨てる」等のアクションカードのお邪魔をかいくぐりながら、5スートのカードを集めて点数を稼ぎます。プレイ感で言うと「フラックス」に近いでしょうか。他プレイヤーに簡単に邪魔されます。比較的イージーにだらだらプレイするタイプのゲームでした。なお、今ではなかなかお目にかかれない、初期Splotterの旧デザイナー達全員の名前がクレジットされてるのも見所の一つです。古くて味わいのある系列のゲームなので、ゲーム性にはあまり言及しないようにしましょう…

 

Indonesia

「フードチェーンマグネイト」と同様に名作と言われることの多いこの「インドネシア」。物資を生み出す会社または運送会社を購入し、うまく都市に輸送して利益を得ます。会社と会社を合併させてスロットに空きを作ったり、相手より先にキャパ制限のある都市に運んだりと、Splotter節が炸裂しています。自分の損益分岐点等を考えて、自分の船を売りに出したりするタイミングは、少し株ゲームのような感覚です。ピック&デリバーの名作と言われていますが、筆者はいまいちピンと来ませんでした。まだ2度しか遊んでいないので、競りの相場がわかった時に楽しくなってくるタイプのゲームなのかもしれません。なお、製品版のボードの区切りが少しわかりにくいので、BGGで公開されているリドローマップでアップデートして遊ぶのがおすすめです。

 

 

Roads & Boats

こちらは「ローズ&ボーツ」です(複数形のためカタカタ表記は違和感がありますね。笑)。アメリカではR&Bという略称で呼ばれていました。蒸気の時代狂の友人が「蒸気の時代と同じぐらいマップにバラエティがあり、中身も最高で面白い!」という熱烈なススメを受けプレイすることに。蒸気を超えてオールタイムベストだと言うので、遊ばないわけにはいかなかった作品です。のちにわかることですが、この作品は後述の「WEB」と同時期に作られた、スプロッターが初めて出版した作品とのこと。

 

ヘクスがたくさん並んでいますが、このマップのセットアップはなんとシナリオにより可変です。いろんなシナリオがあるそうですが、写真のプレイ時は3人用のセットを使用。資源が沸いてくるチットをマップ上に配置し、そこから沸いた資源を別の場所に運び、さらに連鎖して様々な資源を生み出して加速させていく、ネットワーク構築と、資源管理のゲームです。

 

最初にできることが限られているので、まずは初期の資源を生み出して、少しずつ少しずつ拡大していく。他のプレイヤーが生み出した資源を盗むこともできますが、壁を作られてしまったり、逆に自分の資源を取られたりするところもとてもシビアです。資源を的確に生み出し、指定の場所に運んで得点変換するので、計画性が要されます。輸送で使用する道は、何故か直接ペンで書き込むところもユニークです。

 

 Greed Incorporated

2009年出版、株を売買する、スプロッターの中で唯一と言って良いであろう経済オンリーゲーム「グリード・インコーポレーテッド」、通称グリードです。

 

システム的には、資源を売買してお金を儲けて勝利てんに変換するのですが、テーマは、会社を傾かせて退職金を得、それを持ち逃げするというエキセントリックな部分もあります。資源売買で得たお金でステータスシンボルと呼ばれるものを買い、最終的に勝利点にしていくタイミングの見極めも大事です。「相場を見て適切なタイミングでアクションを行う」ことを求められる、まさに経済ゲームだと思います。資源を他プレイヤーと交換する箇所に交渉要素があるので、そこが苦手でなければ楽しめるゲームなのかなと思います。

 

The Great Zimbabwe

神とスペシャリストを味方につけ、盤面でクラフトワークする「グレート・ジンバブエ」です。共通ボードの細かい碁盤の目にタイル&チップをうまく置いていく、王道スタイルのゲームです。

 

個人ボードがない分、能力のついたカードを保持し、それを表示しておきます。写真の1度目のプレイでは、競りに一度も乗らず通貨の牛をコツコツ貯め続けて勝利。全員同時に勝利条件を満たし、得点トラックの過剰分の差で勝敗が決まるアツイ戦いになりました。

 

2度目のプレイでは、競りの際に余分なタイルを1枚得られる神を選択したため、こちらも牛を効率よくゲットでき、5階層目を早めに達成でき勝利しました。

 

他のSplotterゲームはあまり勝てないのですが、なぜかこのゲームだけ妙に勝つことが多く適性があると言われてとても疑問です(笑)。そんなゲームを見つけると、何か特別に感じて嬉しくなってしまいますね。

 

Kiek: 20 years of Splotter

2017年に発売された、スプロッターにしては異例のコミュニケーション系カードゲーム「キーク(20周年版)」です。これは1999年に出版された「Kiek」のリメイク版です。5枚のカードを2つにわけ、カテゴライズしたタイトルを他人が当てます。

 

過去に使用したキーワードは(不正解であっても)2度と使用できないため、「同じものは2度と作らない」のスプロッターのデザインポリシーが、このルールにも反映されている感じでニッコリしました。20周年記念に発売されたゲームということもあり、テストプレイ中の秘蔵写真などで構成されているため、初版よりさらに前のプロトタイプ版など秘蔵写真を目にすることができます。とてもシンプルなカテゴリ分けゲームのため、スプロッターのファン層に刺さるゲーム性とは異なるように感じますが、そんなファンにこそ超オススメしたい作品です。 

D'raf

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こちらは、小箱シリーズの「ドラフ」です。手札からカードをプレイし、共通レーストラックの車をすすめていきます。終了条件が驚きの、机の端まで一番先に辿り着くと勝ちというレースゲームです。物理条件を利用したゲームは、この作品と、後述の「カンヌ」も少し配置制限に物理条件が噛み合っています。レースのテーマがあまり好みではないため筆者はいまいち盛り上がれなかったのですが、他のグループではとても盛り上がったと聞いたので、ポテンシャルを持っているゲームに違いありません。

 

こちら、なんとリメイクされて「スプロッターコン」(後述)限定で発売されるとか。ニッチな出版社の、さらにニッチな作品のリメイク。コアシステムには変更がないと聞いているので、コンポーネントやアートワーク等がどうなるか楽しみです。

 

Gossip

次に紹介するのは、いにしえの小箱シリーズ「ゴシップ」です。こちらは入手困難な作品のため、BGGで本家に許可された方により公開されているPnP版をプレイしました。(余談ですが、スプロッターのデザイナーたちはPnPの公開許可を出しており、そのあたりはとても寛容な考えのようです。)

 

ゲーム内容は、カードがメインとなるゲームです。「まずプレイヤーに耳を配ります」というところがとても面白い。手札となるカードにクリップをつけて噂を他プレイヤーに伝えます。オタクと一緒にいたら評判が下がり、パーフェクトヒューマンと一緒にデートしている噂をされたら評判が上がります。「他の人の耳に対してゴシップ情報を流す」という、他のスプロッター作品からは考えられないすごいテーマのゲームです。

 

VOC! Founding the Dutch East Indies Company

ヴォック!オランダ東インド会社」です。小箱ではないにもかかわらず、なにやら闇の香りがする珍しいプレイ感の作品です。霧の中では航路は見えないので、目を瞑った船長を船員が言葉で案内する、突然の目隠しお絵描きゲームが始まります(笑)。最初はギミックと新鮮さでとても盛り上がりますが、なぜかその後も同じ事を繰り返しすぎて、協議終了する所まで含めて芸術点が高い。ラウンドの設定が明らかに長いので、お絵描きの部分だけを切り取りリメイクしようというファンの話も聞きました(笑)。3分の2ぐらいの長さに最初から設定してプレイすることをオススメします。

 

WEB

こちらは「ウェブ」です。こちらも先述の「ゴシップ」同様入手困難なため、PnPで遊びました。パソコンとサーバーをネットワーク(画像ではクリップ)で繋ぎネットワーク構築を行います。このゲームがローズ&ボーツ同様の年にリリースされているので、このシステムがこの後に出るネットワーク構築の礎となったと思うと、とても感慨深いです。

 

Oraklos

最後に紹介するのは「ラクロス」です。こちら、なんとパターンマッチのスピードゲームです。カードに書かれたキューブ通りの並びになってるキューブ群を場から見つけコール。見ての通りだとは思いますが、スピードゲームなので、他プレイヤーより先に言いたい、と焦ってコールしてしまいますが、なんと「本当に正しいか?」のチェック用の紐が入っています(笑)。そこにチェックのコストをかける!?というところにこだわりを感じます。かわいいパーティゲーム枠です。

 

未プレイスプロッター作品

Cannes: Stars, Scripts and Screens – Mini Expansion

Beest

Chameleo Chameleo

 

最後に、自分のための備忘録も兼ねて、未プレイのゲームを一覧化。レアで見つからず、遊べていないものがほとんどです。品切れしていて公式サイトからは買えないものばかりで、ミニ拡張などもどのように違うかを確認してみたいですね。

 

なお、いわゆる小箱シリーズの、Gossip、Chameleo Chameleo、Beest、WEBに関しては、印刷して遊べるPnPが公開されているので、興味を持った方はBGGをチェックしてみてください。

 

オンラインで遊べるスプロッターのゲーム

BUS、Indonesia, Horseless Carriage、Food Chain Magnate、Canneは専用サイトで遊べます。最近、ローズ&ボーツも追加されていました。ツールに慣れるまでに時間がかかるサイトもありますが、複雑な処理を自動化し、遠隔で遊べるのはとても良いことですね。

 

スプロッター関連のニュース

きたる今週末の2024年の8月末に、スプロッターのゲームばかりを数日間遊ぶコンベンション「スプロッターコン」がアメリカ・ピッツバーグで開催されます!

 

Splotter Con – Gathering for Splotter boardgame fans.

 

アメリカにいた頃、ピッツバーグに住むスプロッター好きのDeanとはコンベンションで遊んだことがあり、Deanがついにコンベンションを主催することに!とても喜ばしいニュースです。スプロッターのデザイナーの1人であるJeroenもオランダから参加するとか!とてもプレシャスな時間になること間違いなしです。参加したかったのですが、今回はドイツに行くため渡米は断念。いつか何かのイベントと合わせて参加したいコンベンションの一つです。

 

実は、私がアジアオペレーションを担当している出版チーム「Neon Comet Games」がスポンサーとなっています。このイベントでは、Drafの特別版がリリースされるそうで、内容物が今から楽しみにしています!

 

ローズ&ボーツのシナリオブックをゲームマーケットで頒布します!!!

ここでスプロッターに関連する大ニュースです!

Neon Comet Gamesとして、「Roads & Boats シナリオブック」(英語版)をリリースします!!

neoncometgames.com

この本は、スプロッターのデザイナーたちに許可を頂き、ローズ&ボーツ数々の公式・非公式シナリオを紹介する小冊子となっています。

 

このシナリオブックの概要は以下です。

-著者:Joshua Acosta, MD (Neon Comet Games)
-Splotterデザイナー:Joris Wiersingaによる前書き
-Jorisのハンドメイド版『Roads & Boats』の独占画像付き紹介文
-本書の使い方に関する詳細なセクション
-「&cetera」拡張に特化したバリアント
-新しい第二次生産拠点モジュール
-フルカラーの162シナリオ(プレイヤー人数別に構成、ゲームのオリジナルアートワークを使用)
-新しい建築モジュールおよび追加タイルが必要なシナリオ用の6枚のシールページ
-付録:タイル内訳、プレイヤーエイド、メモ用ページ

 

本冊子は、ゲームマーケット2024秋にて初版を発売予定で、現在プレオーダーを受け付けています。日本の皆様は、WEBサイトから、カートに追加→チェックアウトの際に「Tokyo Game Market 2024 Fall Pick-up」を選択して頂くと、イベントにて受け取りが可能です。今回は、アメリカの企業「Allplay」と共同のエリア出展となり、土日の両日出展となりますので、イベント時間内にお越し頂ければと思います。

 

英語版にはなりますが、図解で紹介されているのと、各ページにそのシナリオ紹介へのQRコードがついているので、ローズ&ボーツが好きな方には満足頂ける内容になっているのではないかと思います。

 

本冊子は、アメリカで製造し、数量限定の持ち込みになります。そのため、少し高価となることをご承知おきください。当日販売分もありますが、必ず手に入れたいという方は、プレオーダー頂けると確実かと思います。残った分の日本国内の配送に関しては未定のため、決まり次第告知いたします。

 

スプロッターのデザイナーに会いに行き、実現した本作品。進行に数々の壁があったのですが、やっと告知することができ、胸を撫で下ろしています。無事、皆様の手元に届くといいなと思います。

 

さいごに

オランダの出版社「スプロッター」の数々の作品を紹介しましたが、いかがでしたでしょうか?興味深い作品は見つかりましたか?

 

最近は、広く知られている作品を幅広く遊ぶより、こうして一つの作品や出版社を掘り下げる遊び方にハマっているように思います。まだまだ一つ一つのゲームを理解できたとは言えませんが、掘り下げて何度も遊ぶことにより、またボードゲームの新たな側面や魅力に気づけたらいいなと思います。

 

 

 

 

サシゲー会で遊んだ2人用ボードゲーム紹介

ざきやまさんと共催で、2人用ゲームをメインで1日中遊びまくる「サシゲー会」を開催しました!

 

「ゲルハルツのゲームを大量に入荷しました!」というリトルケイブ新宿店のポストを見て、ざきやまさんがゲルハルツ崩し会をやりたいなぁと呟いていました。それを見たアブストラクト好きの私が、じゃあ色んな人呼んで二人ゲーム会やりましょう!という流れで、会を共催するに至りました。

 

いつもどおり感想をひとつひとつX(ツイッター)で投稿していこうと思ったのですが、文字制限・プラットフォームの仕様・タイミングの都合上、9割は適当なことしか言ってないんですよね(笑)あと、最近は大量にゲームを遊べているので、単純に多すぎてやりきれない!

 

ゲルハルツ作品は短時間ゲームにも関わらず、思った以上に楽しい。これはTwitterだけでメモしとくのはもったいなと。そうして、再プレイのためのルールのメモもかねて詳しく備忘録を書いておこうと感じた次第です。そのため、ゲルハルツ以外のゲームはルール記載が比較的適当になっていることをご承知くださいませ。

 

目次

 

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会場は初来店したリトルケイブ新宿店!mor!さんのゲームがたくさん陳列されている様子。

 

Paletto

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まずは手始めに目についたゲルハルツを遊んでいくことにします。「パレット」は、球を順に取っていくゲームです。球の4辺のうち2辺が空いている球のみが獲得できます。必然と端からどんどん取っていくことになりますが、離れ小島を作ることはできません。同色の球は同時に獲得できるため、ラウンド数は変則的になります。相手に取られたくない場所の手前の球は取りたくないというジレンマが面白いゲームです。この時点で「うわ、ゲルハルツおもしろっ。こういうのを終日ポンポン遊べるの、最高じゃないか!?」と気持ちが昂ったのを覚えています。

Fendo

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ゲルハルツの2作目「フェンドー」です。自分のポーン、または、区切り棒を盤面に配置していき、全てのコマを使い切るまで配置は続きます。ゲーム終了時、自分のコマがいるマス数の合計を競います。コリドールのような見た目で、細々と区切り、相手と陣地をせめぎ合うのが面白いゲームです。ルールを少し間違えてプレイしていたようで、「コマがあり、かつ完成した区画にはもうたプレイヤーのコマを差し込めない」のが正しいルールのようです。ルール、要確認。

 

Peak

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こちらの「ピーク」も、ゲルハルツ作品です。1階建の白青コマが盤面にギッシリ並んでいるところからゲーム開始。ちょうど2個のコマのみ飛び越えることができます。1階建のマスなら2マス、2階建のマスなら1マスだけ、というわけです。空マスであれば何マスでも飛び越えられます。コマは移動先にスタックすることになりますが、1階建のコマのみ動かしていくことができるので、動かせるコマが限られてきます。写真はゲーム終了時のもので、一番上のコマの所有者が、建物の高さ分の得点をそれぞれ獲得し、合計を競います(1階建はカウントしません)。3階建のスタックを作ると3コマ分となり(飛び越え不可の)壁となることで、どの方向から相手を来れなくさせるか?を考えながら、自分の得点を最大化していく動きが面白いです。

 

WaldMeister

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ゲルハルツ4作目の「ワルドマイスター」は、3種の高さ、3種の色、計9種のスティックを使ったゲームです。プレイヤーA:高さが同じスティックを短・中・長それぞれでより多く繋げる、プレイヤーB:色が同じスティックを薄緑・緑・濃緑それぞれでより多く繋げることを目標にする非対称ゲームです。それぞれ3種で得点しますが、一番大きな塊のみで得点化されます。手番では、場のスティック1本を引き抜いて一直線上のどこかに移動させ、元のスティックがあった場所に好きなスティックを刺します。お互いの目標が異なっているため、相手の得にならないようにこのスティックをこっちに退けておいて…と考えます。樹木が生えているようなビジュアルも美しく、ゲルハルツ作品の中では一番好きかもしれません。

Triangoli

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次のゲルハルツ作品5つ目は「トライアンゴリ」。自分の手番で、移動→配置→置換というフェーズを踏みます移動:自分のプレイヤーコマを6方向いずれかに直線で移動させます。配置:移動先の交点に接する三角形の空欄1つに移動マス分の小コマを配置します。置換:交点に接する他の三角形から、相手の小コマを移動マス分自ゴマで置換します。ゲーム終了時、三角形4つで構成されるエリア(大三角形)6つそれぞれで小コマのエリアマジョリティを行い、負けたプレイヤーはそのエリアの小コマを全て除外。これを6エリア行い、盤面全体で小コマの多いプレイヤーの勝ちとなります。先手のあとを後手がついていき掠め取っていく「ストーカー戦略」なるものが編み出されました。

 

Laniakea

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ゲルハルツ6作品目の「ラニアケア」。珍しいウミガメのアートが書いてあります。1ラウンドで2ディスク、または1ディスクを2回動かすことができ、2アクション分行った後にタイルをスライドします。そうして、8個中5個のディスクを対岸まで運んだ方の勝利です。3段まで積むことができ、積んだ段数分前進できます。ウミガメはお邪魔ブロック扱いで、1段ディスクではジャンプできず、2段・3段のディスクのみジャンプできます。タイルをスライドする動きで、自分を意図する場所に移動させたり、端にある相手のディスクを排除してしまうことができます。

 

Tintas

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カラフルなゲルハルツ7作品目は「ティンタス」。7個×7色のディスクがギッシリ盤面に埋まった状態でゲーム開始。共通のポーンから、一直線で動かせる場所にあるディスクを獲得できます。獲得したディスクの位置からさらに一直線上かつ同じ色であれば、連続でディスクを獲得できることが特徴です。1色7個全てのディスクを獲得するか、4個以上獲得した色が4色以上あれば勝利です。勝利の道のりが2種ある点で、相手に何を取られたくないかを見ながら進めるゲームです。

 

Nego

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こちらは国産のネゴ。4マスのボスネコ、長いネコ、などマス目の異なるネコを1個ずつ配置していき、囲ったエリアが自陣地となります。ゲーム終了時、ネコのマス数が多い方が勝利。各ネコの配置ルールがやや複雑なのがたまにきずですが、コンポーネントの品質が良く、猫たちがギッシリ詰まっていく様子にファンが多そうな作品です。

Peak

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なんとボーナンザの二人用ゲーム。交渉ゲームは苦手で、名作と言われる「ボーナンザ」はあまり積極的に遊ぶゲームではないのですが、こちらはサイレントな交渉システムが導入されていてとても良かったです。私のように、ボーナンザが苦手な人にも遊んでほしいゲームです。

Mixtour

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ゲルハルツで遊んでいない作品が残っているのを発見し、駆け込みでプレイ。8作品目のこちらは「ミクストゥール」です。自分のコマを1個ずつ配置していきますが、そのコマに対して階数分のコマを周りから呼び込むことができます。2階建のコマには、2マス離れた場所のコマを(何階建てであっても)呼び込んで上に積むことができます。動かす側の階数ではないことに注意です。こうして、自コマがてっぺんにある5階建コマのスタックを先に作った方が勝ちとなります。これはとても面白い!ゲルハルツのベスト5入りです。

 

Diect

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こちら、森くんが持参してくれた国産ゲームの「Diect」です。ゲムマ2023秋で偶然発見し購入したとのこと。個人のコマはなく、一番背の高い共通コマ1つのみを5マスだけ動かし、ディスクを獲得していきます。ゲーム終了時、ディスク数の多い方が勝ちというシンプルなものですが、濃い茶色はお邪魔ブロック。このお邪魔機能がとてもうまく機能しています。一度の右折・左折のみ(しかもブロックのある場所のみ)しか行えないので、移動できる範囲が限られています。そこで、ディスクを1枚支払い、お邪魔ブロックを動かすことで進路を変えられるのです。これにより動きの可能性が飛躍的に広がります。しかし使用するディスクも得点なので、これを使ってまで取りに行くか?のジレンマが発生します。国産のアブストラクトですが、とても完成度が高いと思います。

 

Hakenschlagen

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9作品目は、5人まで遊べる多人数用ゲルハルツ作品です。一番左の列からスタートし、一番右列まで行って、さらに一番左の列まで最も早く戻ってきた人の勝利です。袋から球を3個ひき、その色によりウサギがジャンプできる場所が決まります。直線上であれば、最も近いその色までジャンプできるため、ダイナミックに動ける道を見つけると簡単に逆転します。お邪魔のキツネや、ジャンプ飛距離を加速させるモグラなど(踏みつけられてジャンプ台になる可哀想な役目)、フレーバーとマッチしているのもキュートです。

 

Prime Number Speed / 素数スピード 

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「hiroさん理系なんで得意そうだから持ってきました」と遊ばせてもらった素数スピード。場に出された数字を因数分解し、自分の前にある5枚の素数を因数としてどんどんテンポ良く出していきます。二人ゲームですが、因数でないカードを出した場合にお手つきが必要で、それも判断する必要があるため、マスターを一人用意し、お題表からお手つき判定をしてもらうとスピーディに進むのでオススメです。遊んでいたアブストラクトとは少し方向性の違う脳の場所を使いました。因数分解が得意だったのを思い出させてくれた良いゲームです。レベル3ぐらいが楽しく遊べるギリギリのラインかもしれません。レベル4は難しすぎて無言になります。

横柄歩道

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もちゴマを横断させる二人用ゲーム「横柄歩道」。道を譲らない横柄な老人がいるのでこの名前なのかな。出オチ感が否めないゲームですが、コマによる動きの違いをフレーバーごと楽しむためのゲームです。

 

アマビエ

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疫病の「アマビエ」!記憶しておき1枚確認・交換。自分のカードの3枚の得点合計を最大化させます。横で見ていた友人に「同じカードさっきも見てましたよ(笑)」と言われ、自分の記憶力が死んでいることを確認できました。

 

Spirits of the Forest

f:id:iroppu:20240114090626j:imageご飯が運ばれてきたので、箸休めとして同じテーブルの4人で遊ぶ事になった、唯一のマルチプレイゲーム。Kickstarterの豪華版です。二人用ゲームではないので詳細は割愛しますが、シンプルな良いゲームです。二人ベストという事で持参頂いたので、二人でも遊んでみたいところ。

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小休憩に大葉とシラスのオムライス!ほぼベジタリアンなので、肉がメインでないオムライスやパスタのあるお店はありがたいです。

Schnipp & Weg

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お店にあるゲルハルツ作品のリストを作っていたのですが、このゲームだけが見当たらず、帰宅1時間前ほどにやっと見つかり、最後に遊べたのがこちらの10作品目「シュニップ&ウェグ」です。こちらはアブストラクトではなく、まさかのアクションゲーム。自分のコマを弾いて、相手のコマを盤外へ落とします。他のゲルハルツの方が好みですが、疲れた脳にはこれくらいがちょうど良いのかもしれません。ボードを名探偵コナンの蝶ネクタイに見立て、真似をして「おい、おっさん」と毛利小五郎を呼んでみましたが、同卓者の「コナンが毛利小五郎のフリをしてるから、自分がおっさんでは…?」と冷静に突っ込まれ、この芸はお蔵入りとなりました。

Go With The Floe

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たっくんさん、mariさんがもうすぐ帰られるということで席をそちらに移動して談笑。なんと、お呼びしたのにまだ1ゲームも遊んでいなかったのです。「せっかくなので何か遊びましょう」ということでこちらをプレイ。シロクマかアザラシどちらかの陣営を選び2匹受け取ります。シロクマはアザラシを捕まえること、アザラシは逃げ切ることを目標とした非対称ゲームです。

 

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たっくんさんとmariさんは大のバックギャモン好きで、今日もさまざまなバックギャモンを持参してくれていました。お店のゲーム棚にないにも関わらず、なぜか4つもバックギャモンがあります。お話して、バックギャモンへの熱意を感じられて楽しいひとときでした。

 

Upper Hand

f:id:iroppu:20240114090614j:image手番に一つずつ球を積み上げていき、最初に球を使い切ったプレイヤーが勝ち、というゲーム「アッパーハンド」です。一つずつ置くのに、何故ターン数(消費する球の数)が違うのかというと、自動で置かれる球があるからです。隣接する2x2の4個を置いた時点で、マジョリティが決まっていれば、自動で2階の球が置かれます。黒2・白2の場合、自動で球は乗らず、双方のプレイヤーが手番を使って置くことができます。アソコは放っておいてもマジョリティを取れそうだし、その場所は後で良いか…と放置していると、あっという間に展開が変わる、ソリッドなゲームです。

Akron

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先ほどのゲームとほぼ同じコンポーネントを使って異なるゲームを!こちらはツイクストのような、1辺から1辺を接続するタイプのゲームです。ユニークなのは、2段目も3段目も使用して良いところ。真上から見た時に繋がっていればいいので、上にも載せることで展開がガラッと変わります。

Aggression

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紙とペンだけで遊べる「アグレッション」!30(本来は100)の数字を使ってエリアと戦闘力を戦闘力を書き込んでいきます。隣接全ての数字を足し合わせて一つずつ倒していき、残りのエリア数が多い方の勝ちとなります。エリアを自由な形で書いたり、数字もまちまちと、こんなにも自由度が高いのに、ゲームとして成立していて感心しました。

Alliance Correspondence: Battle Swayers / 決戦前の書状

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ゲムマ2023秋で発売された、テープルゲームズの2人専用の一作です。デザイナーはSaashiさん。関ヶ原の戦いを模した紙ペンゲームです。ラウンド開始時にドラフトで順に3個のダイスを獲得し、そのダイス目を使用し、各将軍を構成する数字を消していきます。構成する全ての数字を塗りつぶすと、その将軍が出陣。3エリアのマジョリティで得点を競います。特徴的なのは、将軍が裏切り、相手の得点になり得るところです。プレイヤー用紙の上部の秘密裏スペースに将軍名と数字を書いておき、相手と数字を競うことで裏切りを起こすことができます。ダイス目を出陣に使うか、はたまた裏切りに使うかのバランスが難しいゲームです。

 

おわりに

ゲルハルツ作品を中心に、二人用ゲームをたくさん遊べた充実の1日でした。テーマしばりの会がとても好きなので、これからも積極的に参加・主催を行いたいところです。

蒸気の時代「概念蒸気」マップ14種紹介

どーも!概念蒸気研究家のhiroです!

 

みなさんは「概念蒸気」というジャンルをご存知ですか?

 

これは公式な名前ではなく、日本の「蒸気の時代」愛好家の中での通称です。蒸気のようであって蒸気ではない、つまり、通常線路タイルを敷くことがメインの蒸気の時代の拡張マップのうち、「線路タイルを敷設しない」蒸気の時代のことを指すことが多いです。英語では、「へクスがない」という意味の「Hexless」が一番よく使用され、概念という言葉を使う場合は「Conceptual Age of Steam」その他「蒸気のようなもの」という意味で「Age of Steam-like」「Age of Steam-ish」などとも言えるそうです。

 

「概念で蒸気を遊ぶ」という、あたかも哲学のようなこの響き、とてもカッコイイですよね。言い方もさることながら、概念蒸気そのもののプレイ感も独特で、概念蒸気のみをプレイしていたら1ヶ月経っていた、なんてこともありました。とにかく!概念蒸気とは、ニッチなジャンルではありますが、とても面白いものなのです!

 

以前「概念蒸気の論文を書く!」と息巻き、多種多様な概念蒸気の研究に着手したところ、研究をすればするほどその道は奥深く、体系化・文章化してまとめあげるのがむずかしくなり中断していました。そこで、一度原点に立ち戻り、概念蒸気のマップをひとつひとつ楽しく紹介する記事を書こう!と思い立ち、本記事の執筆・公開に至りました。

 

概念蒸気は、蒸気の時代の中でもさらに複雑なカテゴリーになると思いますが、各マップの説明で後述する「位置どりのシビアさ」が際立っていたり、蒸気の中でもさらに個性的なルールを楽しんだり、といった、味わいがあるジャンルです。蒸気の時代をプレイしたことがある人は、さらに蒸気の奥深さを知ることのできる、オススメのジャンルです。

 

それでは早速、概念蒸気の紹介、いきまーす!!

 

太陽系(Solar System)

所有権:惑星間のリンク

太陽系マップ!宇宙に飛び出してしまった蒸気の時代。ラウンド終わりに公転が起き、都市色が入れ替わる。一見ぶっ飛びルールだが、リンク張りは比較的自由自在で応用が効く、計画性が無くてもそんなに地獄にならないセミ闇・概念蒸気。

 

オールド・ヨーロッパ(Old Europe)

所有権:国境上にある境界線

プレイ後の写真はディスクが散らばってるようにしか見えない、古きヨーロッパが舞台の概念蒸気。収入増の対象となるのはリンク接続本数ではなく、「経由した大円」と「色付き都市数」で決まるという、トリッキーすぎる商品輸送の考え方を適応しなければならない。なお、このマップでは、中間の国を都市化することでリンク数を増加させることができるが、ターン順1位のプレイヤーは大円にはディスクを置けないため、高リンクを自らのネットワークで作れないのである!通常かなりアドバンテージのある「ターン順1位」の人の敷設能力が弱くなっている。この変更ルールには思わず唸ってしまった。

 

このマップに見られる「商品輸送リンクの数え方」が異なる点。概念蒸気は、線路を敷かないという特徴に加え、各々のマップで「商品輸送リンクの数え方」が異なる。それが概念蒸気同士を特徴づける方法の一つでもあると気付かせてくれた、素晴らしいマップ。

 

 

ニューヨーク地下鉄(New York Subway

特徴:各都市(駅)は仮想上で繋がっている

所有権:都市の隣接へクスの各辺

筆者が以前住んでいた、ニューヨークの地下鉄が舞台のマップ。ヘクスがあるので一見概念蒸気には見えないが、へクスには線路を敷かず、裏返して黒くして使うという超変化球の概念蒸気!キューブとディスクが逆転(写真はオンライン遠隔プレイなので利便状そのまま使用)し、高層ビルの1番上のディスクしか運べないという商品輸送の制限。トンネル内は仮想で全て接続されているので、自由度が高い。先を見越した長期的な輸送計画を立てていないと、リンクを所有している他プレイヤーに簡単に商品を奪われてしまう。

 

なお余談として、デザイナーAlban自らセルフリメイクし、2022年マップセットの中に本マップの新版が含まれている!だが、遊べない人が多発している。その理由とは、裏返しても黒いタイルにならない「DX版」がリリースされ何年も経った後のリリースにも関わらず、ルールには依然「裏返して黒面を使用する」と記載があり、両面印刷のDXタイル・クリアタイルのみを持っている人は遊べない仕様となっている。蒸気界隈では「Alban is.... Alban.」(これだからアルバンは。。)と言われている(笑)

ハワイ諸島(Hawaiian Islands)

特徴:ソロパズル

所有権:島間のリンク

ハワイ諸島が舞台の概念蒸気ソロマップ。商品輸送時に、通過海路にある同色キューブを除去できる。10Rで全部除去したら勝ち!難易度1番下なのに2個残りで失敗…!アルバン氏のソロマップは初プレイだと大体うまくいかないので、リプレイ大前提な設計という所が素晴らしい。

 

パリ(Paris)

所有権:都市間のディスク

特別アクションに、フライボートというアクションが追加、海岸から海岸へ収入増ありで運べる。都市色が変わらない部分や簡素になった部分を除き、ネザーランドマップのプレイ感に非常に似ている。このことから、日本の愛好家の間では「ジェネリック・ネザーランドマップ」と呼ばれている。ネザーランドの質素でストイックな感じか、こちらのカラフルでフレンドリーなパリマップを選ぶかは、お好みだ。


シナプス(Synapses)

所有権:ニューロン(都市)上のディスク

まさかの「シナプス」がテーマのマップ。複雑さや考え方の奇抜さでいうと「概念蒸気の王者」にふさわしいこのシナプス。都市の色が薄くて視認性がゼロ、ニューロンを繋ぐというテーマが激ヤバ。このマップの一番大きな特徴は、経路(シナプス)が同じでなければ同じニューロン(都市)は何度も経由できるという、通常の蒸気では全く許可されていない動きが許容されている点。概念蒸気である上に、イレギュラーなルールがこれでもかというほど詰め合わされている大ボス拡張。脳内の全てのシナプスを総動員して遊ぶこと必須のマップだ。

ハロウィーンHalloween

所有権:リンク上のカボチャ

Alban氏の2021年概念ソロマップ!オレンジのかぼちゃキューブが付属していて、魔女(黒)と一緒に運ぶ、ライン作りが大事なマップ。複数を同時に運んだり、途中の都市にキューブを落としていくという発想がすごい。難易度優しいやつでギリクリア、激ムズモードはクリア不可能説あり。

 

クリスマス・ヴィレッジ(Christmas Village)

所有権:リンク上のアイコン

ソロパズル!各家の子供たちにプレゼントを運ばないと、サンタ業をクビになってしまう。ルールを読んだ時、アルバン氏にしては簡単…と思いきやクリアぎりぎり。なんだこの完璧な難易度調整は?と思わされる調整である。アルバン氏はたくさんのソロパズルをリリースしていることもあり、蒸気の上級プレイヤーであっても難しく感じるような難易度調整がうまい。

 

ネザーランド(The Netherlands)

所有権:へクス間の境界線

「これは蒸気なのか?展」上位にノミネートされるネザーランド。当時、初の概念蒸気として遊び、衝撃を受けたことが記憶に新しい。よく見てください、都市に色がないんです。その代わり奥にもう一枚ミニマップが置いてあり、そこで色をコントロールする。全都市の色が可変です…狂っている!概念蒸気であるにも関わらず、なんと線路タイルを敷くゾーンも用意されているという、ハーフ概念蒸気。超変則マップ。

 

51番目の州(51st State / USA)

 

所有権:州間の境界線

邦題は51番目の州アメリカ各地を旅する概念蒸気!写真のプレイ時はアヒルのプレイ駒を使用したためとても和やかな雰囲気になっているが、このマップも一筋縄ではいかない、難しい概念蒸気となっている。先ほど紹介したオールドヨーロッパマップ同様に、接続ディスク数ではなく経由した「番号付きの都市」+「空港数」でリンク数が変わるため、いつもよりシビアな計画能力が要される。都市化によるリンク増で計画が大きく変わる。ベテラン蒸気er達も悲鳴を上げる、世にも奇妙な概念蒸気。オールドヨーロッパ同様、こちらもルールが奇抜すぎてBGG上でもあまり遊ばれておらず、曖昧なルールをプレイヤー間で事前に明確化して取り決めておくことが求められる。

 

キクラデス諸島(Cyclades Islands)

特徴:四角に区切られたマップ区域

所有権:境界線上または交点

キクラデス諸島で繰り広げる。海に浮かぶ島のテーマに、アヒル駒がピッタリ!「境界線」またはグリッドの「交点」にプレイヤーコマを配置する、概念蒸気の中でも珍しいディスクの配置形式を採用している。「経由した島数」がリンク数となっていて輸送計画がしやすいが、特別アクションである「風向き変更アクション」がやっかいだ。このアクション一つで東西南北いずれか1つの方向が輸送時に禁止されるため、個人への攻撃でなく全体攻撃となってしまう。というのも、このアクションを取得するプレイヤーが、一つの方向を使わないようなルート構築をしておき、全体に影響を与える方向を禁止し続ける、という構図がなりたつので、ルート構築には注意したい。

 

渋谷ナイトアウト(Shibuya Night Out)

こちらはインディーズマップ。渋谷の街にいる若者をクラブに連れていく、へクスのない概念蒸気です。毎ラウンド音楽のトレンドが変わり、トレンドに乗れたら収入+1。インディーズマップとしてへクスのない蒸気が存在しなかったので、思い入れのある土地でまた作ってみました。プリントアンドプレイ形式で無料公開していますが、黒インクを大量に使うので、印刷会社にポスター印刷を頼むのがオススメです。ハードルが少し高いですが、それでも遊んでもらえると作者冥利につきます!!

 

ゴジラGodzilla

画像

こちらもインディーズマップ。へクスがあるのに、へクス間にディスクを置いて接続を示す、まさかの概念蒸気です。ルールは映画のネタバレになってしまうため詳しくは書けませんが、ゴジラが襲う首都圏を舞台に、人間を避難させるルールとなっています。余談ですが、ゴジラ人形をこの日のためにペイントしたゴジラ人形を忘れ、急遽そこにあったロック様人形(プロレスラー)で代用するというハプニングがありました(笑)

 

概念蒸気の概念度チャート

こんな感じで、この世の中には様々な概念蒸気が存在し、それぞれ特徴があることを紹介しました。それを踏まえ、筆者が概念度別に分類した結果はこちらになります。

 

「概念蒸気の概念度」は、語句「概念」が元々持つ意味が邪魔をして少し捉えにくいので、Complexity(複雑さ:ルールの難易度)と、Deviation(偏差:標準ルールとどれほど異なるか)の2要素に分解してマッピングしてみました。左右の軸:偏差は、左に行けば行くほど標準ルールに近く、右に行けば行くほど標準と偏差がある、オリジナリティがあるプレイ感です。上下の軸:複雑さは、ルール自体の複雑さで、ルール量に比例します。

 

概念蒸気を概念蒸気たらしめている要素が、この2要素だと仮定します。線路を敷設するという概念を超え、さらに複雑さを増し増しにしているものが超・概念蒸気なわけです。

この仮定に準ずるとするならば、概念蒸気の王者に君臨するのは、両者が共に高い「シナプス」マップだと言えます。

 

なんだか、概念という言葉を使いすぎてゲシュタルト崩壊してきました。ここで少し冷静になって原点に戻り、概念蒸気を楽しく紹介するマインドに戻ります。

 

蒸気初級者に勧める概念蒸気マップは?

 

蒸気の時代を遊び始めて間もないプレイヤーに「どの概念蒸気マップを勧めるか?」と聞かれた場合、「渋谷ナイトアウト」または「パリ」と回答するかなと思います。渋谷に関しては、(色ボーナスがあるため)収入が上がりやすく脱落しにくい通称「アッパーマップ」であることと、リンクにディスクを載せていく方式のため、リンクが可視化され遊びやすいマップであるのが理由です。パリに関しては、セクション間にディスクを置く方式はいわゆるベーシック概念蒸気ですが、区分けされたセクション数が少なく、集中して概念蒸気の妙を楽しめるマップになっています。また、概念蒸気の中ではルール量が一番少なく、とてもシンプルでわかりやすいマップだと思います(前述の概念度チャートでも、渋谷と共に左上に位置します)。さらに、アートワークも美しいため、新しく蒸気を遊んでみる方にも、魅力的に写るのではないかなと思います!

 

最後に

へクスのない「概念蒸気」ジャンルのマップを紹介しましたが、いかがでしたか?とても楽しそうですよね!?「線路を敷設する」という、蒸気の時代のコア部分を無くし、ソリッドにしたマップ。それでも、蒸気の時代を遊んでいる感覚は十分に味わえる。もしこのブログを読んで概念蒸気が少しでも身近な存在になれば、嬉しいです。

 

 

おまけ

以前始めたラジオ「hiroステ」というボードゲームラジオ過去回の第6回で、ゲストをお呼びしてこの概念蒸気について話しています。当時は「概念度」の概念がなくただ楽しそうに各マップを紹介していますが、カジュアルで聞きやすい会話形式なので興味のある方はぜひ聴いてみてください!

 

 

先週参加したゲームマーケット2023春で、蒸気の時代のマップセットを作って販売しました!

hirobodo.hatenablog.com

 

それぞれとてもユニークな個性を持ったマップになったと思います。変わり種の蒸気をお探しの皆様にぜひ試してもらいたいマップです。

 

近況:テストプレイ中の「インヴァース」です。こちらもヘクスが描かれていますが、点線にディスクを載せる概念蒸気です。概念蒸気である点に加え、どんどん線路が破壊されていく「逆説蒸気」のため、インヴァースと名付けました。賛否両論ありますが、かなりユニークになっているとは思っています。概念蒸気は相当勇気がないと商用マップとして販売はできないと思っていますが、発表方法を考えて形にしたいところです。

 

来週より、しばらくアメリカに旅に出ます。蒸気の時代イベントに参加するのがメインの目的なので、またブログでレポートできたらと思います。

 

 

それでは!

 

ボドゲイムhiro (@bodogeimu) | Twitter

Twitterでは所属サークルのゲーム紹介の他、日々遊んだゲームについてツイートしています。

よければFollowしてください!

Neon Comet Games 2023 作品紹介

Neon Comet Gamesを友人と設立しました!今後「蒸気の時代」を中心とする鉄道ゲームの拡張マップをこちらの屋号でリリースする予定です。応援してもらえると嬉しいです!

 

さて、本エントリーでは、2023年にNeon Comet Gamesで扱う蒸気の時代拡張マップ作品を紹介します。

 

全ての作品のデベロップとグラフィックデザイン、一部のゲームデザインを担当しました。

 

ミツバチ集合精神(Honeybee Hive Mind)

※画像は開発中のプロトタイプです。

 

プレイ人数:3〜5人用

ルール難易度:★☆☆☆☆

 

特徴:このマップでは、黄色キューブはミツバチを表します。ミツバチが花畑に花粉を運びますが、他の花にいるミツバチ1匹ごとに、輸送時にペナルティを受けます。特別アクションにより、ミツバチの影響を無視したり、ミツバチの場所を移動させることができます。

 

コメント:基本マップからのルール変更点は比較的少なく、一見シンプルな部類のルールです。しかし「商品輸送時に所持金を持っていなければ輸送さえできない」という状況が最終ラウンドまで発生する可能性があり、とてもペインフルなマップとなっています。蜂に刺されるような辛さを、この拡張で味わってもらえれば嬉しいです。

 

ブルックリン(Brooklyn)

※画像は開発中のプロトタイプです。

 

プレイ人数:3〜4人用

ルール難易度:★★★☆☆


特徴:ニューヨークのブルックリンを舞台に、ファッションショーに参加します。輸送した色に対応したパラメータトラックが上がり、ゲーム中盤・終盤で位置により評価されます。また、セットコレクションとして最後に得点が加算されます。特別アクション「ランウェイ・ディーバ」「スポットライトを盗め!」をうまく使って、他モデルたちを出し抜きファッションリーダーになりましょう!

 

コメント:去年まで住んでいた町ニューヨークのマップを作りたくて、ファッションをテーマに作りました。キューブ全色を5セット輸送した時のゲーム終了時ボーナスがとても大きく、収入トラックだけでない競争が楽しめます。また、同じ色キューブを輸送するとボーナスがもらえることで、ファッショントレンドトラックでのマジョリティ争いも熾烈になること間違いなしです。

 

簡易デザイナーズノート:プリントアンドプレイで公開した前作「ベンゼン」で一度セットコレクション要素を導入し、そこで「線路敷設や収入を最優先に考えず、輸送する色を最優先に考えるのは面白い」と確信を得ました。一方で、2色3色だけのセットコレクションは果たしてセットコレクションを導入したといえるのかと自分自身で疑問を抱えていました。加えて、これまでのPnPマップは(広く遊んでもらえるよう)初心者でも楽しめる難易度設定を行なっていたため、難易度が優しいマップしか作ったことがないことに不完全燃焼を感じておりました。そこで今回のブルックリンでは、トップの人がギリギリ到達できるかできないかぐらいの難易度の高めなセットコレクションを導入し、さらに人数別の得点調整デベロップを行いました(ここにかなり時間がかかりました)。それゆえ、意図するゲームデザインやプレイ感がうまく表現できていると思っています。制作の過程で、街や都市の距離・コストのバランス調整にも時間をかける重要性を学んだ事も大きいです。なおグラフィック面では、ファッション・モデルがテーマという事もあり、華やかさにこだわって作っています。ドープでクールな、ブルックリンの空気感が少しでも伝われば幸いです。

 

エスケープルーム(Escape Room)

※画像は開発中のプロトタイプです。

 

プレイ人数:2〜4人用

ルール難易度:★★★★☆

 

特徴:限られた時間内で4種のミッションを協力して解決し、脱出を目指します。通常通り勝者は1人ですが、脱出に失敗すると全員が敗北するスリリングな拡張です。ある時は協力し、ある時は熾烈な戦いが勃発するような、半協力マップです。パズルの中を少しだけお伝えすると、パズル1では指定された色のキューブを運び、パズル2では特定の条件を満たすようトリッキーな線路敷設を要求され、はたまたドアのアンロックにはエリア外の敷設を強いられ…おっと、ここはルールブックを見てのお楽しみ!

 

コメント:「エスケープルーム×蒸気を思い付いた」とチームメンバーから聞いた時、とても驚き信じられなかった事が記憶に新しいです。今回出版する拡張の数あるメカニクスの導入の中で、最もチャレンジングな導入でした。複数のミッションを半協力で達成していく様は、脱出ゲームや、全体目標のあるボードゲームの体験に似ています。私の感じるこのマップの面白さは「蒸気の時代なのに、フェーズごとに達成すべき内容が異なる点」です。特徴説明でお伝えしたとおり、ある時は指定色のキューブ探しに必死になり(もちろん収入も必要ですしね)、ある時はエリア外の敷設のためのお金をキープするため泣く泣く競りを諦めたり…この拡張、いやこの脱出ゲームが終わった後に「いつもと違った蒸気を遊んだ」という満足感を確実に与えると断言できます。いつもと違った蒸気を遊んでみたい方向けの、トリッキーな拡張。ぜひ遊んでみてください。

 

バイーア1808(Bahia 1808)

※画像は開発中のプロトタイプです。

プレイ人数:3〜5人用

ルール難易度:★★★☆☆

 

特徴:賄賂が横行した1808年のブラジル・バイーア州が舞台のマップです。ゲーム開始時にプレイヤーごとに賄賂トークンを購入し、株式借入上限を宣言します。アクション選択ブーストができますが、それには賄賂が必要です。国外に接続できるハブ都市に接続できた場合、ゲーム終盤で賄賂を新たに追加購入できます。

 

コメント:ゲーム開始時の株式借入上限制度が、このマップの大きな特徴です。と言っても、ゲーム開始時には盤面を見ても展開は完璧にわからないため、もう最初に自分の意志で決め切るしかないのです!そして賄賂トークンの存在が、プレイヤーを多いに狂わせます。ボードゲームには、何もしない休憩ターンを作り、次のターンで有益なことをする「しゃがむ」というワードが存在しますが、このマップでは(賄賂トークンを払わないとアクションさえ選べない…ターン順も確実に最後…、果たしてそこまでしゃがむのか?)というしゃがみのレベル感が存在します。そこがとても面白い。それぞれのアクションにプラス版の特別アクションが存在するのもこのマップの大きな特徴の一つで、「他人のリンクを2回自分のものとして使える」「線路4枚を全部半額で」「残り物のアクションをもう1個実行できる」など、とてもジューシーなアクションが列挙されています。しかし、これにはさらに賄賂トークンが余分に必要で…アッパーなマップと見せかけてキツキツの戦いになる様は、蒸気を何度も遊んでいるベテランにも、蒸気経験があまりない方にも、ぜひ体験して欲しいシステムです。

 

 

販売情報

最初に紹介した3つのマップ(ミツバチ集合精神・ブルックリン・エスケープルーム)は、東京ゲームマーケット2023春に2023マップセットとして先行販売します!

 

1日目5/13(土)のみ出展で、ブース番号は【ア-04】となります。2日目5/14(日)は NCGブースの出展はありませんが、エリア出展のEngamesさんにて本マップも少量委託販売頂く予定です。こちらのロゴを目安にブースに来て頂けると嬉しいです!

両面印刷のポスターマップセットとして、丸めて筒に封入し、お渡しする予定です。当日は、共同設立者であるJoshuaも来日し、サイン対応する予定です!

 

ゲームマーケット受け取りのプレオーダーを以下サイトで現在受付中です。

neoncometgames.com

また、遠方から通販対応の要望を多く頂いたため、上記サイトで通信販売も行っています(6月以降の発送となります)。数がなくなり次第終了します。

 

 

バイーア1808マップに関しては、アメリカで5月末に行われる「Winsome Choose Some」という蒸気×18xxのコンベンションで先行販売となります。そのため、日本では6月以降に発送のみの対応となります。

 

なお、ルールに対するお問合せですが、Neon Comet Gamesから出版する拡張マップのルール公開は、デザイナーの意向により今後も行わない方針です。ご了承ください。

 

 

長くなりましたが、以上がマップや販売情報となります!!

 

最後に

蒸気の時代というゲームが大好きになり、2年間遊び続け、蒸気の時代コンに参加、そこで出会った蒸気狂のアメリカ人友人たちと意気投合。デザイナーJohnに執念で会いに行く。その後の周りの熱意、肯定感、応援に後押しされ、気づいたら出版社を作って大好きなゲームの拡張マップを販売するところまで来ました。この記事を書くことにより、ああ、本当に「Neon Comet Games」を作って作品を出すんだなあと、じわじわと実感してきています。

 

しかし、現実は綺麗事だけではありません。経験したことのない規模の重ゲー4種の並行デベロップ、アメリカ&日本での製造管理、英語の修正指示のニュアンス理解、決済サイトの確認、進行管理…思った以上に普段行わない工程が多く(サークル活動をこれまで9年やってきた私でも)一度精神がやられかけました。出版を自分たちで完璧に行うということは、本当に学ぶことが多いです。実物が届き販売できる状態にするまでまだ安心はできないですが、小さなトラブルの種を限りなく潰し、製造・販売・流通までスムーズに行えるように全力を尽くします。夢を叶えます。

 

蒸気界に突如現れた、彗星のような。

そんな思いを込めて。

 

スペシャル・サンクス

蒸気の時代デザイナーのジョン、一緒にマップを作ってくれているビジネスパートナーa.k.a.蒸気狂 Joshua、応援してくれている友人たち、テストプレイに協力してくれたアメリカ各州・大阪・東京・千葉のボードゲーマーたち、購入して遊んでくれようとしているボードゲーマーの皆様、この無茶な生活を支えてくれている家族に感謝の意を示して、本エントリーを締め括りたいと思います。

 

応援どうぞよろしくお願いします!!!!頑張ります!!!

蒸気の時代の楽しくて便利な周辺グッズ紹介

この記事は、アドベントカレンダーボドゲ紹介 Advent Calendar 2022 」の17日目の記事として書きました。

ボドゲ紹介 Advent Calendar 2022 - Adventar

 

アドベントカレンダーの企画に参加するのは初めてですが、ブログを時々書いている者として一度参加してみたかったので、参加できて嬉しいです。企画者のぐらさん、ありがとうございます!

 

16日目の昨日は、atsさんの激アツ記事でしたね。毎年書かれている方は本当に尊敬する…!!

ネスターゲームズ(nestorgames)について その6|ats|note

 

蒸気の時代とは?

さて、皆さんは蒸気の時代という魅力的なボードゲームを知っていますか?20年前に販売されたゲームではありますが、200以上の拡張マップが製品版・インディーズ版共にリリースされており、来年も新しい拡張が発売されるという、大変ロングスパンで愛されている鉄道ゲームです。

 

蒸気の時代を知らない方に向け、念の為説明しておきます。

このゲームのコアとなる要素は「ピック&デリバリー」「線路敷設」です。5色のキューブがマップ上にセットアップされているのですが、それらのキューブを同じ色の都市に運ぶことで収入(=のちの勝利点)を得ることができます。ただし、輸送するためには線路が必要で、所持金を払って線路を敷いていきます。この「線路を計画的に敷き、荷物を運ぶ」部分がパズルライクでとても面白いゲームとなっています。さらにこのコア要素に加え、各拡張マップでルール変更があります。上記はブルックリンの町で線路を敷いている一例ですが、輸送したキューブの色に応じてボーナスがもらえるルール変更となっています。このように、とても強いコアシステム×拡張ごとのルール変更の味わいマッシュアップされ、一度蒸気の時代にハマると抜けられない、ある意味快楽漬けになりやすい、とても危険なゲームになっています。

 

 

「蒸気の時代」の魅力は語り出したらキリがないため、ここではこれぐらいにしておきます。

 

 

私はというと、このボードゲームにハマり、来る日も来る日もこのゲームのことを考え、この2年弱は蒸気の時代なしでは語れない生活となりました。蒸気ラジオもはじめ、デザイナーに会いに行き、蒸気の時代だけを遊ぶために各州に遠征し、マップを7種類作り…冗談ではなく、生活が変わりました。そのため、今回のアドベントカレンダーの記事でも、トピックがありすぎて選ぶのに苦労してしまいました。特定のテーマを決めマップの紹介を行うことも考えましたが、今回は一旦ゲーム外に目を向け、少し外から蒸気を俯瞰しようと思ったわけです。

 

 

いよいよ本題です。1つのゲームにハマると、ゲーム体験をアップグレードする周辺グッズにも興味が出てくるのが人間のサガというものです。幸い、本体の版違いや、拡張マップの収集には(このゲームに関しては相当難易度が高いこともあり)そんなに興味がない私ではありますが、プロダクトとして美しいものや、明らかに体験が変わるグッズに関しては、投資を惜しまないタイプです。

 

そこで、このエントリーでは「持っていたらワクワクする、楽しくて便利な蒸気の時代グッズを」紹介したいと思います!中には他のボードゲームで使えるものも含まれているので、蒸気の時代を遊んだことがないという方にも「こんなアイデアがあるんだ!」として参考になると幸いです。

 

 

後半になるほど比較的マニアックになります。それでははじめます!

 

商品ディスプレイオーバーレイ

写真提供:スタピ堂さん

 

まずはコレを紹介しなければ始まらない!商品キューブのディスプレイって、ボードに直接キューブを置くので、よくズレるんですよ。商品ディスプレイを見て次にどこに線路を敷くかを計画するゲームにもかかわらず、キューブがズレてしまったらまた計画がやり直し…まれに起こるそんな悲しいハプニングを防ぐリスクヘッジでもあり、かつキューブを美しく整列させる事ができる最高のオーバーレイなのです。アメリカでも「これはどこで買えるの!?」と多々聞かれる、素晴らしい作品です。なお、日本で手に入りやすい「DX版( Eagle-Gryphon Games)」のボードにしか使用できないため、注意してください。

 

販売先:

 

アクリルマップカバー

蒸気の時代のマップは、製品版であっても、折り畳まれたペラペラの紙、筒に入れられた丸まったマップ、と、結構扱いに困るマップが多いのが現状です。ましてやファンメイドのプリントアンドプレイマップも遊ぶとなると、上からまるっと押さえるプロダクトが要されます。そこでこのマップカバー!これがあると、反り返ったり丸まったマップのどんなカーブも安心して抑えこむことができます。これ、実は満足度に大きく寄与します。自宅会が多い方はガラス1枚でもOKとは思いますが、ゲーム会や旅行の際も蒸気を持ち運ぶことが多い方には、分解して持ち運び可能な、この組み立て型アクリルマップカバーがとても重宝すること間違いなしです。

 

こちらは友人豊えり氏作の非売品です。

 

クリルタイ

みてくださいこの美しいタイルを!!!こちら、アクリルでできたハンドメイドのタイルです。従来は平地・丘・山に線路を敷いていくゲームであったため、それらの緑色に馴染む付属品タイルが一般的に使用されています。が、こちらは透明なタイルのため、いかなるマップの雰囲気も壊さず、遊ぶことができます!特におすすめなのが、月マップ、火星マップ、アウタースペースなど、宇宙をテーマにしたマップにこれらが映えます。ただ美しいだけでなく、元の地形特性が見えることによりいちいちタイルを避けて確認する手間も省けるため、プレイアビリティが格段に向上するマップもあります。こちら、一度このアクリルタイルを使うと元に戻ることはできないと言われているので、使用には注意してください。

 

 

こちらは友人豊えり氏作の非売品だったものですが、現在は製品版として受注生産で作成。次のアナウンスが楽しみですね。

トークントレイ

こちらは、トークン類を入れるトレイとなっています。アクリル製でとても美しく、先ほどのアクリルタイルとの相性も良いため、かなり満足度の高いアイテムです。キューブを袋に入れたりするのにも使いやすい形状となっていて、今や手放せないアイテムとなっています。

販売先:

アクリルトークントレイ | オリジナル商品 | コロコロ堂 Web Store | ボードゲーム通販

 

線路タイルケース

線路タイルを収納するための便利グッズです。なんとコレ、元々は妖怪ウォッチ用のメダルケースだそうです。線路タイルを種類ごとに分けたり、特定のマップで必要な特殊タイルを収納できます。ギリギリ6枚ずつ収納できるため、計72枚が収納可能です。蒸気の時代では、タイルの残り枚数のカウントが重要となるため、種類別にソートされている意味はかなり大きいです。プロダクトとしては少し蓋のパッチン部分が甘いですが、このクオリティで100円なのはマストバイです。商品名は「メダルケース36」で、セリアとキャンドゥで購入できるそうです。

 

トークンケース

写真提供:しのさん

プレイヤートークンを入れておける、鉄道のコンテナがモチーフになったケース。日本のダイソーで手に入るそうで、日本語のデザインの方はセリアで購入できるそうです。アクリルトークントレイも良いですが、こちらも鉄道テーマに特化していてとてもお気に入りです。レトロな入れ物が、味があってとても良いですね。

 

カスタマイズプレイヤートーク

プレイヤートークンを、違う種類のコンポーネントで置き換えて遊ぶことができます!それぞれのコンポーネント色は、なるべくわかりやすい方が良いですが、上記のように形が異なるものでも十分遊べます。上記の写真は、NY中華街の謎のアクセサリーショップで買い付けた宝石セットで、ベンゼンマップ、ブルックリンマップなど、上品でキラキラした「姫蒸気」を遊びたい時にピッタリのアイテムとなっています。

 

写真提供:しいたけさん

市販のコマでも良いですが、こんな可愛いアヒルコマで置き換えることも可能です!(写真提供:しいたけ氏)キクラデス諸島マップや、流氷マップ、ハワイ諸島など、海に関するマップ全般にアヒルがピッタリですね。マップに応じてコマをカスタマイズして楽しんじゃいましょう!

アクションカード

写真提供:やまぐちさん

 

各アクションをわかりやすく絵と文章で説明したアクションカードです!前述の通り、蒸気の時代の拡張には、そのマップにしかない「特別アクション」と呼ばれるアクションが存在します。基本マップにないそれらのアクションを、初めて遊ぶプレイヤーにわかりやすく説明している素晴らしいアイデア。場所も取らないし、特別アクション研究家としては手元に欲しいアイテムです。

 

オンラインで遊ぶためのツール

写真提供:しのさん

こちらは、オンラインで「物理的なマップ」を遊ぶためのセットアップです。アメリカでは通常、特定のオンライン対戦ツールVassalや、Tabletop Simulatorでテストプレイなどが行われていますが、私の周りではこちらの方法で遊んでいます。ホストが全て操作する必要があったり、照明の設定、収入ボードの文字を大きくする、などのさまざまな工夫が必要ではありますが、何より遠隔で蒸気好きの友達と遊べるというメリットがとても大きいのです!ハード面・ソフト面の詳細な設定は「蒸気の時代ファンブック」で紹介しているので、気になった方は見てみてください。

 

 

棋譜

プレイ中に思い出メモとして残しているオリジナルの自作棋譜です。何のアクションを選び、どんなことが起き、どんなことを思ったか。チェスや将棋の棋譜を見て作り出した棋譜ではありますが、こちらのメイン目的はうまい手の再現・復習ではなく、思い出を綴るために記載しています。

 

もし「自分もやってみたい!」という稀有な方がいらっしゃいましたら、こちらからダウンロードできます。気になった方はぜひ使ってみてください!(私的利用に限ります)

Age of Steam: Notation sheets - Google ドライブ

 

汽笛

素晴らしいムーブを決めた時に鳴らす汽笛です。6リンクを2回運べた時や、素晴らしいブロックを決めて、それが決定打となり勝敗が決まった時など…面白いのが、誰かが鳴らすわけではなく、自分で自分のムーブの素晴らしさを判断して、自分で鳴らしに行くところです(笑)一般家庭では早々見ないものですが、鳴らすと楽しいので、小さなイベント用などにもピッタリ。気分を高めるために自宅会にも導入しても良いかもしれません。

 

おわりに、沼への誘い

楽しくて便利な蒸気グッズを紹介しましたが、いかがでしたでしょうか?お気に入りのものは見つかりましたか?もう蒸気のことが好きになってしまいましたか?そうですよね。これだけ楽しいことがわかったのに、遊ばないわけにはいかないですよね。

 

もしこれを読んで「蒸気の時代を遊んでみたい!」と思った方は、ぜひ以下のブログもチェックしてみてください!去年時点での私のオールタイム蒸気ベスト10です。

hirobodo.hatenablog.com

 

とはいえ、いざ友達を誘うとなっても、蒸気を遊んでくれるプレイヤーを見つけるのが難しいことも多いのが現状です。そんな時は、2人から遊べるマップを印刷して、1人だけ見つけてミニマムに遊ぶのをおすすめします。以下で全2人用マップを紹介しています。

hirobodo.hatenablog.com

 

こちらは日本テーマのマップ紹介です。親近感のある地名マップを選ぶことで、さらに楽しむことができます。この記事執筆後もどんどん日本テーマのマップがリリースされているので、後日パート2の記事を書く予定です。

hirobodo.hatenablog.com

 

 

さらなる蒸気の奥ゆきを知りたい方に向けて。

アメリカ・カンザス州で「3日間蒸気の時代を遊び続ける」という狂気のイベントが毎年開催されています。勇気を出して今年参加してみたところ、驚くべき蒸気狂との出会い、素晴らしいプレイスタイル、さまざまな蒸気の愛し方を知る事ができました。以下2記事はそちらの参加レポートになります。この記事を読み終わった頃に、カンザスへの飛行機の往復チケットを買ってしまうかもしれませんので、心して読んでください。

 

hirobodo.hatenablog.com

 

hirobodo.hatenablog.com

 

さて、明日はもりさんによる「ミルフィオリキャメロットについて」です。どちらも遊んだことがないゲームなので、今から読むのが楽しみです!

 

 

 

ボドゲイムhiro (@bodogeimu) | Twitter

Twitterでは所属サークルのゲーム紹介の他、アメリカで日々遊んだゲームなどをアップしています。最近は蒸気の時代に関するツイートが多いです。

よければFollowしてください。

「蒸気コン」参加レポpart2(蒸気スラング・印象的な出来事編)

前回は、概要と遊んだマップを紹介した記事を書きました。

 

 

hirobodo.hatenablog.com


今回のエントリーでは、さらに掘り下げ、メインストリームでないところも紹介していきたいと思います。こちらの方がマニアックな記事になる予感がしますが、蒸気のゲーム内容自体に触れていないという面では、蒸気を遊ばない方も楽しめる記事になっているのではないかと思います!それでは始めます!

 

蒸気スラング

アメリカ各州から参加者が集うこのイベントでは、通常の英語と同様、各地・各コミュニティで使用している用語をたくさん聞くことができました!印象に残った「蒸気ならではだなあ」と思ったスラングをいくつか紹介します。

 

TOP:

トップ、と文字通り読みますが、なんとこれ「ターン・オーダー・パス」の略です。アクション選択時に「ターン順パス」を選択する時「I'll TOP. 」と、略語を動詞として使用しており、衝撃でした。他のコミュニティでも使っていると聞いたので、使っていきたいなと思います。

 

Donglers:

未完成の線路のことです。

 

Town me please.:

こちらは、townを他動詞として使用する例です。蒸気の時代では「町ディスクを置く」ことがゲーム中によくあるのですが、その「町ディスクを取って(俺に渡して)」という意味です。よく似たニュアンスである「Urbanize me please.」(俺を都市化して→都市化アクションのところにディスク置いて)はニューヨークのコミュニティでも聞いたことがあったのですが、さらに派生して「townを動詞化して使用」している事に驚きました。

 

shenanigans:

全く聞いたことがなかったんですが、「ふざけたこと」を指す単語だそうです。蒸気中に、やらなくてもいいアクションだけど一応アクションを選択しておいて自分のターンには何もしないような、そういったことを指すようでした。

 

despictable:

いじわるな、卑怯な、と言う意味の単語です。誰かをブロックするようなアクションをすると、言われます。いじわるな動きを他プレイヤーにされたとき、以前は「mean(形容詞)」をよく聞いてたのですが、このコンベンションでは、こちらをよく聞きました。さらなる上級のいじわるさ、のようなイメージでしょうか…

 



bust out:

蒸気における「領域(自分の線路)を広げていく」と言った意味です。I wanna bust out east.で「東の方へ領域を広げていきたいな」のように使われていました。この時以外にも何度か聞いて、カッコいいのでこれは今後も使いたいと思っています(笑)

 

I'm vacationing at 1st round:

最初のターンに何もできなくて遊んでいること」をこう表現していて感動しました!NYではchillin' outをよく使うのですが、それがバケーションに置き換わり(しかも動詞で)、蒸気でこうやって使うんだ!と感動したものの1つです。

 

hit the shelf:

収入トラックのボーダーを超えてしまうことを、こう表現していました。例えば、収入トラックの10で止まれば収入減衰がないのですが、11で止まってしまうと収入減衰が2となり、損をしてしまいます。この10と11のボーダーをshelfと言うそうです。誰も減衰しなかったターンに「No one hits the shelf!」 と言っててカッコよかったです。

 

Double Base USA:

ここからは全く実用的でない余談になりますが、野球などで使用する「ベース」と言う単語にダブルをつけると、少しセクシュアルな響きになります。野球で、1塁・2塁を経由しホームベースにたどり着くまでの様子を、恋愛の進行具合になぞらえるそうです。このような背景があり、このマップが出た時、とある地方の蒸気勢が「えっ!?そんな名称で蒸気コンマップ出しちゃうの!?」と盛り上がったそうです。何を意味するかの直接的説明は避けますが、備忘録として残しておきます(笑)

 

CCMF:

まさかの「チューチューマザー○ッカー」の略です(笑)口頭ではあまり書かれることはなく、元々文面で使用されていたものだとか。チューチューは元々蒸気機関車の音を表現するのに使用されているのですが、近い間柄のプレイヤーに蒸気で嫌なアクションをされた時、これに対し、CCMF!と言い返すらしいです。語感と発想がおもしろすぎますが、Fワードなので使用には注意です。

 

JCL:

これはおまけですが、デザイナーJ.C.Lawlenceの人名の略称です。しかも、製品版のデザイナーではなく、インディーズデザイナーの略称なのです。わざわざ略称まで作って呼ばれているほど、彼は個性的なデザイナーだそうで。個性の強いゲームデザインWales,Sun,Denmark等のマップ)である上、ネット上での振る舞いにかなり癖があるそうです。そのため、インディーズデザイナーではありますが、蒸気界隈で色々な意味で話題に上がるため、このような略称が作られたそうです。

 

ここに書き留めていたものの他にも、たくさんの蒸気スラングを聞くことができ、とても満足です。

 

印象的な出来事

・Eagle Gryphon Gamesの社長と一緒に遊べた

イーグルは、蒸気の時代DXを出版している会社です。大阪マップ出版の話をもらった時に連絡を取ってから、実際に会いたいと思っていたところ、なんと蒸気コンでお会いできました!!出版の話もできたし、一緒に2回も遊べて、新作のプロトタイプも見せてもらえました。その後エッセンでも会って話すことができて、本当にここにきて会えてよかったなと思いました。

 

・私と全く同じタイプの、未プレイマップ中毒のプレイヤーに会う

蒸気においては、「あいつ(未プレイマップ)の首をとってこい。生死は問わない。」という「未プレイマップ最優先スタイル」で遊びまくっている私ですが、なんと私と同じタイプのプレイヤーがいたのです!私が書いた棋譜やマップまとめを見てめちゃくちゃ誉めてくれた上に、「俺も、未プレイマップをメモ帳に常にリストアップしておき、いつも目に入る状態にしている」という言葉を聞いた時、感動で口が開いたままになりました。蒸気と言うマニアックな世界の中の、さらにその中でも同じタイプの人間に出会う喜びは、それはまた計り知れないものなのです。「未プレイマップは手書きでチェック方式にしたよ、見て!」と送られてきた写真が上記です。左が私のチェックリスト、右が彼の。ほぼ一緒じゃん(笑)最高ですね。

 

→後日談:奇跡的に翌日飛行機が同じで、NYまでずっと話していました。そこで気が合いすぎて、さらに1ヶ月後に速攻ピッツバーグまで会いに行く約束をし、蒸気合宿を一緒に計画しました。またこの話もブログに書いている途中なので、近々公開します!!

 

 

・蒸気コンがナイトクラブに

自作マップである渋谷マップには、遊ぶ時にこの音楽をかけてくださいね、というミックス音源を付けています。それが、なんと主催者のケビンに気に入ってもらえて、3日目の最後のセッションで、サプライズでこの音楽が会場に鳴り響いたのです!!しかもクラブ系のハウスミュージックです!!もはや雰囲気はナイトクラブです。なんで!!こんなこと誰が想像できたのでしょうか。写真は、私が椅子に立って撮った隣のテーブルです。

 

流石に他のガチ蒸気プレイヤーに申し訳なさすぎて「ケビン、お願いだからこの音楽を止めてください…せめて音をもう少し小さく…」と何度も懇願したのですが、「最後のセッションは大体リラックスムードだから大丈夫。クラブ音楽はかけたことないけど(笑)」って言ってずっとかけたままでした・・・でも、たくさんの人が音楽も褒めてくれて、本当に充実感の高いセッションになりました。あれを許してくれた寛容な参加者の皆さん、ありがとう。

 

・味変の楽しみ方がさらにマニアック

そもそも、蒸気の時代の拡張マップを遊ぶことは「マップごとの違いを楽しむ」ことに他ならないと思うのです。ですが、なんとこのコンベンションには「全く同じマップをプレイ人数違い(3人・4人)で遊び、その味変を楽しみたい」という超絶ぶっ飛んだ人がいるのです!!12回しか遊べないこの蒸気コンの2セッションを、同じマップに費やす!?仰天しました。JCLという奇抜なデザイナーのウェールズというマップでしたが、やはり違ったそうです。最高にマニアックな楽しみ方で、世界にはいろいろな人がいるなぁと感じました。

 

・蒸気愛に溢れた人たちと会えた

これだけ他の方のことを色々書いていますが、私の棋譜や、蒸気本、未プレイマップの消化スピードについても、かなりの人に「狂っている。でも最高」の言葉を頂きました。でも、みんな、愛し方が違うんです。オリジナルの初版マップを集めていたり、基本マップを50回以上遊んだり、新しくリリースされたばかりのインディーズ情報をくまなくチェックし、リリース後に真っ先に試すことに熱意を出してる人もいたり。これだけの蒸気フリークが集まる場だからこそ、たくさんの人の蒸気愛をいろんな形で直接感じることができて、その雰囲気がもう最高だった。1ヶ月たった今でも、思い出しては喜びに満ち溢れています。

 

蒸気コン参加者のレポート(英語)

今年の参加者の蒸気コンレポートも(英語ですが)続々と上がっています。合わせてぜひ読んでみてください!(私がボロ負けした点数も詳細に見れますが、ご愛嬌ということで…笑)

 

未プレイ蒸気狂の社交人間、Joshua Age of Steam Con 2022 Recap | Medlife Crisis | BoardGameGeek

大好きなベスティー蒸気ガール、Ashley Age of Steam Con 2022 Recap

優しくて厳しいPacific Electricの作者、Rick Maps I played at Age of Steam Con 2022

クールでウィットの効いた、Matt Age of Steam 2022

静かに燃ゆるオハイオの男、Daniel Maps I played at Age of Steam Con 2022

ブラジルと蒸気を愛するドクター、Zezzo Games I played at Age of Steam Con 2022

(一緒に遊ぶ機会がなかった)Joe Con Report: Age of Steam Con 2022

 

いま振り返って読みましたが、それぞれの詳細なログから思い出が溢れてきて笑いながら涙が出てきました。みんな、本当に蒸気が大好きな人ばっかりで、最高に楽しかったな。

 

会場で出会えた超愉快な仲間たち、必ずまたどこかで会いましょう。

 

Special Thanks

イベントは、みんなで作るもの。愉快な参加者、蒸気大好きな人たち。一緒に遊んでくれてありがとう。

 

会場徒歩20秒のトイレ・シャワーなしキャビンに一緒に泊まったり、初参加の何にも知らない私に色々教えてくれて、参加を後押ししてくれたアシュレイ、本当にありがとう。

 

そして、主催のケビン・チャド・ケイ、素晴らしいイベントを本当にありがとう!!

また会う日まで!!!!!

「蒸気コン」参加レポpart1(概要・マップ紹介編)

蒸気コンに参加してきました!

2022年9月末から10月頭にかけて、かつてより念願だった蒸気コン(Age of Steam Con 2022)に参加してきました!!蒸気コンの翌日からドイツをはじめとする欧州5カ国周遊をしていたため、ブログにしたためるのに時間を要してしまいました。しかし!!このコンベンションは、今まで参加した中で一番楽しかったコンベンションだったため、記録を残さないという選択肢はありません。時差ぼけでまだ頭がぼんやりしていますが、まずは簡単な概要と、当日遊んだマップ12枚の感想を紹介する記事を書きます!

 

蒸気コンの概要

蒸気の時代コン(Age of Steam Con)は、毎年アメリカのカンザス州で、例年秋に3日間にわたって開催されます。この期間、ずっと蒸気の時代を遊び続けるという、蒸気ファンには夢のような、稀有なコンベンションです。

 

開催期間:2022/09/30-10/02 の3日間

場所:アメリカのカンザスカンザスシティ

会場:Hollis Renewal Center(キャンプ場に隣接した、山の中にある小さな建物)

参加人数:74人(2022年)

参加費:3日間+前夜祭で $70

交通:カンザス国際空港から30分。各自でホテル・レンタカーを手配し会場に集合

 

会場には世の中に存在するほとんど全ての蒸気マップが用意され、そこから自由に取って遊ぶことができます。

 

こちらは、折りたためるタイプの拡張マップたち。アルファベット順に並べられています。ほとんどの人は、こんなに一度に大量に蒸気マップを目にすることは人生で初めての体験でしょう。

 

会場はこんな感じ。左奥に見えている木製の棚の引き出しには、これまたこの世に存在するポスターマップたちが全てアルファベット順に収納されています。以後これらを「夢の棚」と呼ぶことにします。

 

 

このコンベンションならではの大きなお楽しみとして、XLサイズのマップが遊べることです。XLは通常の2倍サイズのマップで、コンポーネントも全て2倍の大きさのものを使用します。DX版を出版しているEagle Gryphon Gamesの協力で、蒸気コンのために特注サイズのコンポーネントが作られています。なんともアメリカらしい計らいです。

 

巨大なXLマップは夢の棚にも入らず、壁にかけられて展示されています。その都度、壁から取って遊ぶ運用になっています。が、私(153cm)では全く手が届かないため、他の参加者に取ってもらっている様子が上記の写真になります。屈強で背の高い参加者が多いので、助かります。

 

写真はダブルベースUSAマップのXLマップを、DX版の蒸気のゲームボックスと比較したもの。いかにXLマップが大きいがわかってもらえるかと思います!

 

遊んだマップの棋譜

今回遊んだマップの棋譜(自分の行った動きを全て記載したもの)のまとめです。途中で酸欠になったり紆余曲折ありましたが、計画通り合計12マップを遊ぶことができました!

上段:1日目、中段:2日目、下段:3日目です。思い出がたくさん詰まっていて、今読んでもありありと情景が浮かびます。棋譜を書いていて本当によかった…

 

さて、それでは本題の!遊んだマップ紹介です!!

Everest

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はじめのマップは、今年の蒸気コン2022マップのエベレスト!毎年コンベンションオリジナルマップ(表裏で2種)が参加者に向けてリリースされるのですが、今年はエベレストがその一つです。VP勝負ではなく、いち早く頂上に辿り着き無事下山した者が勝者となるレース蒸気です!酸素吸入・臨時機関車等の特別アクションが多いのがやや複雑めの部類のマップです。一度うまいこと上まで行くともう追いつけないかのように思えますが、なんと上部3分の1の高山に登るには、各ストップごとに+1の機関車が必要です。これは合計+1ではなく、例えば3リンク運ぼうとするだけで6機関車が必要となっているのです。このため、トップを走るプレイヤー止めのブレーキになっていて、良いルールです。蒸気ハイになり、リアル酸欠になること請け合いのマップです。

 

Railroad Switches #1

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なかなか入手困難なマップと言うことで、こちらを希望しプレイさせてもらいました。マップ上にある路線切替ヘクスに複雑交差タイルを初期配置し、それ以外には複雑交差タイルを一切使えないと言うかなりの意地悪マップです。路線切替へクスにはどの方向からも接続できますが、6辺のうち4辺しか接続されていない状態となります。特別アクションである切替アクションを選ぶと、そのプレイヤーだけが無料で回転でき放題というチート付きです。この点ルールがクリアではないため、プレイ中に議論が盛んでした。なお、マップ#1と#2が存在しますが、路線切替ヘクスの場所が異なったり、山の多さが違ったりするのみで基本ルールは同じです。ルール不明瞭が多い問題児ですが、見かけたら一度は経験したい上級マップ!

 

Benzene

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Eagleの社長に遊びたいとリクエストを頂き、自作マップであるベンゼンを持参!研究者になって研究所でベンゼン化合物を作り、より良い研究者を目指します。研究トラック×セットコレクションのメカニクスを導入した新マップです。遊んでいくうちに、都市と線路がベンゼン環のようなビジュアルになっていくところもお気に入りポイントです(都市間の近さを調整し、そうなりやすいように誘発しています)。この辺のデザイン話は、また別のエントリーで話します!

 

自作マップに関しては、蒸気コンのライブラリに寄贈するため2枚+自分用1枚を持参したのですが、なんと3個とも同時に回っていました!なんということでしょう。そのうち、なんと科学者と医者の参加者が遊んでくれていて、私が写真を撮らせてもらったら「君の独創性は素晴らしい」としっかり目を見て褒められました。この後もたくさんの蒸気フリークが遊んでくれたところを度々目撃し、涙が出そうになりました。

 

その時にいただいたフィードバックのうち、研究トラックのVP傾斜が強いと自分でも判断したため、微調整してまた出そうかと思います。

 

Sharing XL

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1日目の最後は、大きさが全部2倍のXLマップ!蒸気コンのために、イーグリにDX版のXLタイルやコンポーネントを特注で作ってもらったようです。このシェアリングマップの大きな特徴として、リンクをあと乗りで共有(Share)する事で株式(Share)を増減させる、と言うコンセプトがあります!一度上限に達した株式も、人に寄生される事で下がるユニークさが面白い。韻を踏んだネタ枠だと思っていましたが、株式の増減により次のラウンドの動きが変わることが面白い、良いマップでした。

 

Zimbabwe XL

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さて、2日目は蒸気コンオリジナルマップのもう一つであるエベレスト!実はこれ、日本の蒸気プレイヤーしいたけ氏の原案マップです!テストプレイで遊ばせてもらった時にはハイパーインフレを実現していて辛くて良いマップだったのですが、アメリカ勢によりルールが追加され、さらにキツくなって帰ってきたマップとなります。数ラウンド毎に機関車-1や株式+1など辛いことを必ず選択しなければならず、線路を敷くにも莫大なお金がかかり、とても辛いこと間違いなしのマップです。辛いことが起きるマップといえば「マダガスカルマップ」が挙げられますが、「ポスト・マダガスカル」なんて呼ばれていました。参加者からの評判がとても良いマップでもありました。

 

Central New England XL

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多数の蒸気プレイヤーが集まるこのイベントで、多人数でしか遊べないマップを遊ばない手はない!と言うわけでエントリーしました、このセントラルニューイングランド!8人がエントリーし、最終的に7人プレイとなりましたが、(次のセッションまでに終わるんだろうか…)と言う不安がずっと付き纏っていました。ですが、その心配は杞憂に終わり、なんと約2時間20分で終了しました。各自が誰のターンかをお互いに確認し、常に早めに決断しよう、と言う流れができていました。全部のマップがそうゆうわけではないのですが、こうした多人数プレイならではの心がけに少し感動を覚えました。

さてルールの方はというと、こんなに広いマップにも関わらず、異なる州に自分の線路のみで荷物を運ばねばなりません。半数のラウンドで敷設金額がアホほど高額になるキツキツマップで、これでもかと言うプレイヤー困らせマップです。同じ州内でも運べるようになる特別アクションが大人気でしたが、7人プレイでの最下位の選択肢のなさは異様でした。皆、7人プレイに適した競りを行なっており、その面でも新鮮だったプレイです。

Ukraine

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こちらもレアマップの一つです。私と同じ「未プレイマップをプレイすることに魂を燃やしている」タイプの参加者に巡り合い、意気投合してこちらのマップをプレイすることに。1ヘクスを指定し、その後、その指定ヘクスを輸送に全く使用できなくする凶悪な特別アクションつきです。これは、1人のプレイヤーを攻撃するだけでなく、複数人が使用している都市を封じることで全員に致命的ダメージを与えます。このルールで、初プレイの相手にガンガン輸送をブロックされ、「意地悪してごめん。でもヒロの収入が最大だったから仕方なかった」と言われました。(そうか…ここまで攻撃されると言うことは、私めちゃくちゃ勝ってるんだ…仕方ないよね…うまいと認められて嬉しい…)と言う逆転の発想で悦に入っていたところ、それでも私がうまいことやりすぎていたようで、その後都市化ブロック(相手の輸送の主要箇所となる町を、都市化してその色を運べなくすること)までされてしまい、最高に興奮しました。上級者にあそこまでコテンパンに攻撃対象にされると言うことの、価値。その快楽をはじめて覚えてしまった、思い出深いマップです。

 

 

Beer & Pretzels

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こちらは、ビールとプレッツェルマップ!最終的な所持金のみが得点となる、蒸気のようで蒸気でないお遊び短時間マップです!この時すでに精神が蒸気ハイになっており、また1日の終わりと言うこともあって皆の疲労も溜まっていたので、その場のメンバーの提案により、難しいマップよりも、簡単なマップをサクッと遊ぶことになりました。

このマップでは、お金が大事なので、線路敷設さえしないラウンドもある、と言う独特な動きです。3.4リンクをうまく回し続け、結構うまくいきました。確かに、普通の蒸気をやると、このマップはリラックス蒸気というか、セミ蒸気、と言う立ち位置にあるもの頷けます。現にこのゲーム中では、本当にビールとプレッツェルを飲み食いしながらハイになって遊んでいたので、このような遊び方がぴったりなのかもしれません!

The Alps

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こちら、このコンベンションで最も遊びたかった、アルプスマップです!レアマップのため、遊んだことがなく遊んでみたいというプレイヤーが続出し、簡単に卓が立ちました。このアルプスマップは、箱を使って高低差を出し、トンネルを掘って町から町へ輸送すると言う、トンデモ奇抜蒸気なのです!商品を山から下山させると収入+1というルールが効き、前半のラウンドでは山頂にある商品の取り合いになります。山頂の商品は限られているので、次はまちにある商品を(収入−1になりながら)渋々山頂へ運ぶような流れになりました。トンネルの移動パス形成が難しく、見通しの難しさが上級者向けのスパイスとなっています。しかし、そこがとても面白い。(箱を使用し高低差を出す)というルールを聞いた時、ギミックだけのおふざけマップかと危惧していたのですが、ギミックだけではない、全蒸気民履修必須の良作です。

California Gold Rush

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カリフォルニアに眠る金塊を集めるマップです。3日目にして、一緒に山小屋に泊まっているアシュレイ(蒸気ガール)と1度しかゲームを遊んでいないことに気づきます。そこで、2人が遊びたかったものの1つを遊ぶことにしました。マップ上に落ちている金塊を運んでもその時点では収入に一切繋がりませんが、最後に1金塊につき15勝利点という爆上げが起きます。そのため金塊をなるべく多く運びたいところですが、金塊は山林地帯に存在するため、線路敷設に投資が必要となります。収入を早く上げるか金塊を取るかが悩ましく設計されている、良いマップです。

Wales

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知る人ぞ知るデザイナー、JCLの最も複雑とされるウェールズマップです。こちら、なんと商品チャート1マスに2個商品を載せたり、チップを載せたりする奇妙な補充方式です。一番大きな特徴としては、2種の機関車を運用し大小を組み合わせて輸送します。大の機関車(Regular Guage)を使用して輸送できるのは大きい線路のみのため、大小どちらの線路を敷くか、線路敷設時にもう計画しておかなければなりません。ダイス運がほとんどなくかなり複雑なルールを多数詰め込んだ上級マップですが、かなり面白いです。JCLのファンだという、このマップを提案してくれたジャックの意見も頷けます。そもそも、「JCL」で会話が通じることがもう尊いです。18勢のジャックと大盛り上がりした、思い出深いマップです。

 

Shibuya Night Out

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最終はお酒を飲みながら、リクエストもらった渋谷ナイトアウトを。人数が多かったので2面に対してインストを行い、一つの卓に私も入って遊びました。そこでなんと、私のDJmix(このマップ用に作ったサウンドトラックのようなもの)がサプライズで流れてきたんです。流石に、ハードコアな蒸気プレイヤーの多いこの会でハウスミュージックを大音量で流すのは…と思い主催の人に止めてと伝えると「蒸気コンの最終セッションは、いつもリラックスムードでこんな感じなんだよ。全く気にする必要がない」と言われました。その後、主催のケビンと共に最後まで遊び、最終的に「こんな小さい体でフロア沸かして、蒸気界沸かす君の情熱は逸材」と言ってもらえました。この時間が楽しすぎて、終わるのが嫌で最後マジで泣きました。素晴らしいクライマックスでした!

 

 

さいごに

今回は蒸気コンレポpart1として、蒸気コンの概要・遊んだマップ紹介を中心に執筆しました。次回は、どんなスケジュールで3日間を過ごしたか、イベントで起きた奇跡、会場で聞いた面白い蒸気スラング、個人的なエピソードなど中心に紹介しようと思います!お楽しみに〜!!

 

追記:パート2を公開しました!