蒸気コンに参加してきました!
2022年9月末から10月頭にかけて、かつてより念願だった蒸気コン(Age of Steam Con 2022)に参加してきました!!蒸気コンの翌日からドイツをはじめとする欧州5カ国周遊をしていたため、ブログにしたためるのに時間を要してしまいました。しかし!!このコンベンションは、今まで参加した中で一番楽しかったコンベンションだったため、記録を残さないという選択肢はありません。時差ぼけでまだ頭がぼんやりしていますが、まずは簡単な概要と、当日遊んだマップ12枚の感想を紹介する記事を書きます!
蒸気コンの概要
蒸気の時代コン(Age of Steam Con)は、毎年アメリカのカンザス州で、例年秋に3日間にわたって開催されます。この期間、ずっと蒸気の時代を遊び続けるという、蒸気ファンには夢のような、稀有なコンベンションです。
開催期間:2022/09/30-10/02 の3日間
会場:Hollis Renewal Center(キャンプ場に隣接した、山の中にある小さな建物)
参加人数:74人(2022年)
参加費:3日間+前夜祭で $70
交通:カンザス国際空港から30分。各自でホテル・レンタカーを手配し会場に集合
会場には世の中に存在するほとんど全ての蒸気マップが用意され、そこから自由に取って遊ぶことができます。
こちらは、折りたためるタイプの拡張マップたち。アルファベット順に並べられています。ほとんどの人は、こんなに一度に大量に蒸気マップを目にすることは人生で初めての体験でしょう。
会場はこんな感じ。左奥に見えている木製の棚の引き出しには、これまたこの世に存在するポスターマップたちが全てアルファベット順に収納されています。以後これらを「夢の棚」と呼ぶことにします。
このコンベンションならではの大きなお楽しみとして、XLサイズのマップが遊べることです。XLは通常の2倍サイズのマップで、コンポーネントも全て2倍の大きさのものを使用します。DX版を出版しているEagle Gryphon Gamesの協力で、蒸気コンのために特注サイズのコンポーネントが作られています。なんともアメリカらしい計らいです。
巨大なXLマップは夢の棚にも入らず、壁にかけられて展示されています。その都度、壁から取って遊ぶ運用になっています。が、私(153cm)では全く手が届かないため、他の参加者に取ってもらっている様子が上記の写真になります。屈強で背の高い参加者が多いので、助かります。
写真はダブルベースUSAマップのXLマップを、DX版の蒸気のゲームボックスと比較したもの。いかにXLマップが大きいがわかってもらえるかと思います!
遊んだマップの棋譜
今回遊んだマップの棋譜(自分の行った動きを全て記載したもの)のまとめです。途中で酸欠になったり紆余曲折ありましたが、計画通り合計12マップを遊ぶことができました!
上段:1日目、中段:2日目、下段:3日目です。思い出がたくさん詰まっていて、今読んでもありありと情景が浮かびます。棋譜を書いていて本当によかった…
さて、それでは本題の!遊んだマップ紹介です!!
Everest
はじめのマップは、今年の蒸気コン2022マップのエベレスト!毎年コンベンションオリジナルマップ(表裏で2種)が参加者に向けてリリースされるのですが、今年はエベレストがその一つです。VP勝負ではなく、いち早く頂上に辿り着き無事下山した者が勝者となるレース蒸気です!酸素吸入・臨時機関車等の特別アクションが多いのがやや複雑めの部類のマップです。一度うまいこと上まで行くともう追いつけないかのように思えますが、なんと上部3分の1の高山に登るには、各ストップごとに+1の機関車が必要です。これは合計+1ではなく、例えば3リンク運ぼうとするだけで6機関車が必要となっているのです。このため、トップを走るプレイヤー止めのブレーキになっていて、良いルールです。蒸気ハイになり、リアル酸欠になること請け合いのマップです。
Railroad Switches #1
なかなか入手困難なマップと言うことで、こちらを希望しプレイさせてもらいました。マップ上にある路線切替ヘクスに複雑交差タイルを初期配置し、それ以外には複雑交差タイルを一切使えないと言うかなりの意地悪マップです。路線切替へクスにはどの方向からも接続できますが、6辺のうち4辺しか接続されていない状態となります。特別アクションである切替アクションを選ぶと、そのプレイヤーだけが無料で回転でき放題というチート付きです。この点ルールがクリアではないため、プレイ中に議論が盛んでした。なお、マップ#1と#2が存在しますが、路線切替ヘクスの場所が異なったり、山の多さが違ったりするのみで基本ルールは同じです。ルール不明瞭が多い問題児ですが、見かけたら一度は経験したい上級マップ!
Benzene
Eagleの社長に遊びたいとリクエストを頂き、自作マップであるベンゼンを持参!研究者になって研究所でベンゼン化合物を作り、より良い研究者を目指します。研究トラック×セットコレクションのメカニクスを導入した新マップです。遊んでいくうちに、都市と線路がベンゼン環のようなビジュアルになっていくところもお気に入りポイントです(都市間の近さを調整し、そうなりやすいように誘発しています)。この辺のデザイン話は、また別のエントリーで話します!
自作マップに関しては、蒸気コンのライブラリに寄贈するため2枚+自分用1枚を持参したのですが、なんと3個とも同時に回っていました!なんということでしょう。そのうち、なんと科学者と医者の参加者が遊んでくれていて、私が写真を撮らせてもらったら「君の独創性は素晴らしい」としっかり目を見て褒められました。この後もたくさんの蒸気フリークが遊んでくれたところを度々目撃し、涙が出そうになりました。
その時にいただいたフィードバックのうち、研究トラックのVP傾斜が強いと自分でも判断したため、微調整してまた出そうかと思います。
Sharing XL
1日目の最後は、大きさが全部2倍のXLマップ!蒸気コンのために、イーグリにDX版のXLタイルやコンポーネントを特注で作ってもらったようです。このシェアリングマップの大きな特徴として、リンクをあと乗りで共有(Share)する事で株式(Share)を増減させる、と言うコンセプトがあります!一度上限に達した株式も、人に寄生される事で下がるユニークさが面白い。韻を踏んだネタ枠だと思っていましたが、株式の増減により次のラウンドの動きが変わることが面白い、良いマップでした。
Zimbabwe XL
さて、2日目は蒸気コンオリジナルマップのもう一つであるエベレスト!実はこれ、日本の蒸気プレイヤーしいたけ氏の原案マップです!テストプレイで遊ばせてもらった時にはハイパーインフレを実現していて辛くて良いマップだったのですが、アメリカ勢によりルールが追加され、さらにキツくなって帰ってきたマップとなります。数ラウンド毎に機関車-1や株式+1など辛いことを必ず選択しなければならず、線路を敷くにも莫大なお金がかかり、とても辛いこと間違いなしのマップです。辛いことが起きるマップといえば「マダガスカルマップ」が挙げられますが、「ポスト・マダガスカル」なんて呼ばれていました。参加者からの評判がとても良いマップでもありました。
Central New England XL
多数の蒸気プレイヤーが集まるこのイベントで、多人数でしか遊べないマップを遊ばない手はない!と言うわけでエントリーしました、このセントラルニューイングランド!8人がエントリーし、最終的に7人プレイとなりましたが、(次のセッションまでに終わるんだろうか…)と言う不安がずっと付き纏っていました。ですが、その心配は杞憂に終わり、なんと約2時間20分で終了しました。各自が誰のターンかをお互いに確認し、常に早めに決断しよう、と言う流れができていました。全部のマップがそうゆうわけではないのですが、こうした多人数プレイならではの心がけに少し感動を覚えました。
さてルールの方はというと、こんなに広いマップにも関わらず、異なる州に自分の線路のみで荷物を運ばねばなりません。半数のラウンドで敷設金額がアホほど高額になるキツキツマップで、これでもかと言うプレイヤー困らせマップです。同じ州内でも運べるようになる特別アクションが大人気でしたが、7人プレイでの最下位の選択肢のなさは異様でした。皆、7人プレイに適した競りを行なっており、その面でも新鮮だったプレイです。
Ukraine
こちらもレアマップの一つです。私と同じ「未プレイマップをプレイすることに魂を燃やしている」タイプの参加者に巡り合い、意気投合してこちらのマップをプレイすることに。1ヘクスを指定し、その後、その指定ヘクスを輸送に全く使用できなくする凶悪な特別アクションつきです。これは、1人のプレイヤーを攻撃するだけでなく、複数人が使用している都市を封じることで全員に致命的ダメージを与えます。このルールで、初プレイの相手にガンガン輸送をブロックされ、「意地悪してごめん。でもヒロの収入が最大だったから仕方なかった」と言われました。(そうか…ここまで攻撃されると言うことは、私めちゃくちゃ勝ってるんだ…仕方ないよね…うまいと認められて嬉しい…)と言う逆転の発想で悦に入っていたところ、それでも私がうまいことやりすぎていたようで、その後都市化ブロック(相手の輸送の主要箇所となる町を、都市化してその色を運べなくすること)までされてしまい、最高に興奮しました。上級者にあそこまでコテンパンに攻撃対象にされると言うことの、価値。その快楽をはじめて覚えてしまった、思い出深いマップです。
Beer & Pretzels
こちらは、ビールとプレッツェルマップ!最終的な所持金のみが得点となる、蒸気のようで蒸気でないお遊び短時間マップです!この時すでに精神が蒸気ハイになっており、また1日の終わりと言うこともあって皆の疲労も溜まっていたので、その場のメンバーの提案により、難しいマップよりも、簡単なマップをサクッと遊ぶことになりました。
このマップでは、お金が大事なので、線路敷設さえしないラウンドもある、と言う独特な動きです。3.4リンクをうまく回し続け、結構うまくいきました。確かに、普通の蒸気をやると、このマップはリラックス蒸気というか、セミ蒸気、と言う立ち位置にあるもの頷けます。現にこのゲーム中では、本当にビールとプレッツェルを飲み食いしながらハイになって遊んでいたので、このような遊び方がぴったりなのかもしれません!
The Alps
こちら、このコンベンションで最も遊びたかった、アルプスマップです!レアマップのため、遊んだことがなく遊んでみたいというプレイヤーが続出し、簡単に卓が立ちました。このアルプスマップは、箱を使って高低差を出し、トンネルを掘って町から町へ輸送すると言う、トンデモ奇抜蒸気なのです!商品を山から下山させると収入+1というルールが効き、前半のラウンドでは山頂にある商品の取り合いになります。山頂の商品は限られているので、次はまちにある商品を(収入−1になりながら)渋々山頂へ運ぶような流れになりました。トンネルの移動パス形成が難しく、見通しの難しさが上級者向けのスパイスとなっています。しかし、そこがとても面白い。(箱を使用し高低差を出す)というルールを聞いた時、ギミックだけのおふざけマップかと危惧していたのですが、ギミックだけではない、全蒸気民履修必須の良作です。
California Gold Rush
カリフォルニアに眠る金塊を集めるマップです。3日目にして、一緒に山小屋に泊まっているアシュレイ(蒸気ガール)と1度しかゲームを遊んでいないことに気づきます。そこで、2人が遊びたかったものの1つを遊ぶことにしました。マップ上に落ちている金塊を運んでもその時点では収入に一切繋がりませんが、最後に1金塊につき15勝利点という爆上げが起きます。そのため金塊をなるべく多く運びたいところですが、金塊は山林地帯に存在するため、線路敷設に投資が必要となります。収入を早く上げるか金塊を取るかが悩ましく設計されている、良いマップです。
Wales
知る人ぞ知るデザイナー、JCLの最も複雑とされるウェールズマップです。こちら、なんと商品チャート1マスに2個商品を載せたり、チップを載せたりする奇妙な補充方式です。一番大きな特徴としては、2種の機関車を運用し大小を組み合わせて輸送します。大の機関車(Regular Guage)を使用して輸送できるのは大きい線路のみのため、大小どちらの線路を敷くか、線路敷設時にもう計画しておかなければなりません。ダイス運がほとんどなくかなり複雑なルールを多数詰め込んだ上級マップですが、かなり面白いです。JCLのファンだという、このマップを提案してくれたジャックの意見も頷けます。そもそも、「JCL」で会話が通じることがもう尊いです。18勢のジャックと大盛り上がりした、思い出深いマップです。
Shibuya Night Out
最終はお酒を飲みながら、リクエストもらった渋谷ナイトアウトを。人数が多かったので2面に対してインストを行い、一つの卓に私も入って遊びました。そこでなんと、私のDJmix(このマップ用に作ったサウンドトラックのようなもの)がサプライズで流れてきたんです。流石に、ハードコアな蒸気プレイヤーの多いこの会でハウスミュージックを大音量で流すのは…と思い主催の人に止めてと伝えると「蒸気コンの最終セッションは、いつもリラックスムードでこんな感じなんだよ。全く気にする必要がない」と言われました。その後、主催のケビンと共に最後まで遊び、最終的に「こんな小さい体でフロア沸かして、蒸気界沸かす君の情熱は逸材」と言ってもらえました。この時間が楽しすぎて、終わるのが嫌で最後マジで泣きました。素晴らしいクライマックスでした!
さいごに
今回は蒸気コンレポpart1として、蒸気コンの概要・遊んだマップ紹介を中心に執筆しました。次回は、どんなスケジュールで3日間を過ごしたか、イベントで起きた奇跡、会場で聞いた面白い蒸気スラング、個人的なエピソードなど中心に紹介しようと思います!お楽しみに〜!!
追記:パート2を公開しました!