Hiroのボードゲームあれこれ

アメリカをはじめとした海外のボードゲーム紹介・ショップ訪問記、ゲーム製作記をつづります。

都内で大規模ボードゲーム会を3年間主催してきた私の、集客ノウハウとゲーム会継続のコツ

はじめに

f:id:iroppu:20180424111709p:plain

現在は米国在住の私ですが、日本にいた頃、都内でボードゲーム会を主催していました。

 

 

3年前に始め、知人だけで始めた第1回は十数人での開催でしたが、3年強月1で続けて、1回あたり最大84人の参加者が集まる大規模なボードゲーム会となりました。下記グラフは、第30回の時に記念トークをした際のスライド資料です(笑)

f:id:iroppu:20180424005141p:plain「口コミだけで80人もどうやって集めるの?」

「(マルチとかの人じゃない、健全な)参加者が継続して増えていってるのはなぜ?」

 

と知人にもよく聞かれるため、 人・コンテンツ・ケアの3つの観点から考えた、私なりの「集客ノウハウ・良いボードゲーム会を続けるコツ」を書き連ねました。ボードゲーム会はもちろん、他のイベントを運営されている方にもご参考になれば幸いです。

 

※私が主催した会に参加された皆様・実名をご存知の皆様へ

不特定多数が見るインターネット上での個人情報特定を避けるため、コメント等頂く場合には、個人名・団体名・ニックネーム・地域が特定されないようなコメントにご協力ください。 

 

筆者について

f:id:iroppu:20180424013132j:plain

私自身のパーソナリティは以下です。コツとはあまり関係ありませんが、事前情報としてご参照ください。

・ゲーム会主催当時20代・女

・大学院まで関西、東京で技術職(SE)5年半勤務

・遊んだことのあるボードゲームは500個ぐらい

ボードゲーム以外の趣味がある(フェス・登山・アカペラ・旅・華道・DJなど!)

 

「もともと東京に友達が多かったんでしょう?」と言われますが、大学院まで関西だったため、上京した頃は周りにほとんど友達が居ない状態からのスタートでした。

 

ゲーム会概要

・月1回、土曜開催

・13:00〜19:00の間で自由参加

・参加費:1人500円(公民館を終日借りる費用に当てる)

・終了後、事前に予約していた居酒屋で懇親会(2時間・ほぼ飲み放題)

・クローズド会

(参加者は口コミのみで集めており、この形式はボードゲーム界隈で一般的に「クローズド会」と呼ばれ、ネット上で不特定多数に参加者を募る「オープン会」形式の対になる位置付けとなります。)

 

集客ノウハウ・良いボードゲーム会を続けるコツ

さて、人・コンテンツ・ケアの観点で、私が行っていることを以下に分類しました。

 

【観点1:人(集客)】

・客層はボードゲーム初心者をメインで狙う

・他の趣味で出会った「趣味の合いそうな」友人を誘う

・来なくなった人に心を痛ませすぎない

・来てくれる人の興味を「事前に」把握しておく

 

【観点2:コンテンツ(ゲーム会)】

・大きめの快適な会場を3ヶ月前に抑える

・毎回違う会場で開催する

・ルール周知徹底

・会場に音楽を流し、良い雰囲気を出す

・季節のイベントと混ぜる

 

【観点3:ケア】

・来てくれた人に「当日ケア」を行う

・来てくれた人に「アフターケア」を行う

 

それぞれの項目を具体的に説明します。

 

観点1:人(集客)

 

・客層はボードゲーム初心者をメインで狙う

ボードゲームが好きな方は、すでに参加しているコミュニティが大体あるので、経験したことのない人に経験してもらうことをメインとします。ボードゲームはまだまだマイナーな趣味のため、その方が圧倒的に母数が多いからです。もちろん、ボードゲームがもともと好きで、という方も来てもらってます。

ボードゲームとは何かを説明し、年代・趣向が似た友人が集まりやすいことなども伝えます。

f:id:iroppu:20170407082823j:plain

ライト層に合わせて、ライトなゲームももちろん持参。

 

・他の趣味で出会った「趣味の合いそうな」友人を誘う

会社の同僚や先輩を誘うのに抵抗がある人が多いと思います。そこで、別の趣味で出会った友人を誘います。共通の趣味があるので、(よほどでない限り)他の趣味にも興味を持ってもらいやすいです。ただ、クラブに行ったりフェスに行った際に、全くインドアな趣味がなさそうな人には誘いません。(意外とマッチングする可能性もありますが、勧誘して空気が悪くなると嫌なので、判断します。ここは勘。)なお、たびたび驚かれる友人を紹介するとすれば「ポールダンスイベントで会った知人」「DJイベントに来てた医学生」「学会の懇親会で声かけて話題が研究→ボードゲームにかわり、半ば強引に勧誘した友人」です。マジです(笑)

  

・来てくれる人の興味を「事前に」把握しておく

これ、かなり労力が必要ですが、個人的には重要視しています。

例えばアウトドアイベントで出会った人で、会話によるコミュニケーションが好きそうな人であれば、パーティゲームから勧めてみる。例えば、フランスに旅行して来たよ〜と話したことのある人であれば、(事前の会話の中で具体的にゲーム名を出すかは微妙なところですが)フランスのゲームをまず導入として遊んでもらおう、という想定をしておく。理由づけです。人は理由があると安心します。これらはボードゲームを遊んだことのない人に対してのアクション。ボードゲームを一度でも遊んだことがある人に対しては、その時遊んだゲーム・感想を聞いておき、それに似たゲームを紹介する、など。

会話を事前に行いその人の人となりを知ることで、当たり前ですが相互理解が深まります。私自身の感覚では、この会話の過程でマルチっぽい人はだいたいわかるので、誘わずに済みます。

 

※実際、これでマルチや宗教勧誘の人が全て防げるかというと、そうではありません。来て、行動や言動が怪しいなと思ったり、友人経由でその情報を聞いた場合は、主催者として以後来ないように連絡して調整します。 

 

・来なくなった人に心を痛ませすぎない

 何かの理由で、1度ボードゲーム会に来てその後来なくなる人がいます。次回の連絡をしても既読スルーだったり、連絡が途絶えたり。大人数を集客していると、体感ですが毎回5%ぐらいは居ます。そんなことが複数人続くと、めげそうになります。もちろん残念ですが、その人とはマッチングしなかったというだけ。会に新しい風を吹き込むために新規の人を呼んだり、今来てくれている人の満足度をあげたりする方にリソースを費やす方がよっぽど会の為になります。

連絡が途絶えてしまった人に対して、自分の行動を全く反省しない訳ではなく、(「行けるよね!?じゃ、ゲーム会の詳細送りまーす!」という誘い方が強引すぎたかな?おとなしいタイプの人には、もっと会話を重ねたあとにライトに誘うようにしよう・・・)といったような反省を行ない、次に生かしています。勧誘も恋愛・就活同様にトライアンドエラーですね。しかし、あまりそこにも力を入れすぎないのがポイントです。

 

 

観点2:コンテンツ(ゲーム会)

・大きめの快適な会場を3ヶ月前に抑える

都内でイベントを運営されている方はご存知かと思うのですが、会場のキャパが大きければ大きいほど、すぐに(早いところは半年前などから)埋まってしまいます。80〜100人規模となると、ホールや宴会会場の貸切も考慮し、できるだけ3ヶ月前に開催日程を決める必要があります。人数制限ぴったりだとかなり窮屈に感じるため、快適さのために、想定人数の+10〜20人ぐらいのキャパシティを目安に予約してください。各区で施設予約のサイトがあるため、事前にその会員となり、仮予約・本予約をします。窓口に直接お金を払いに行かなければならない場合も多いので注意してください。この施設予約運営は、何度もやっているとすぐ慣れます。

f:id:iroppu:20180424110440p:plain

主催の自宅に近くて予約しやすい場所が多かったですねぇ。今でもよく使っている会場は、人気案件のためここでは伏せますね。(笑)

 

 

・毎回違う会場で開催する

これはできれば、で構いませんが、毎回同じ会場だと飽きるので、なるべく毎回違う会場にします。和室・洋室で雰囲気がガラッと違うし、その後の居酒屋も特色のある場所を。とはいえ、1年間全て違う会場を探し続けるのもキャパ的に無理があるので、2ヶ月後からは同じ会場でもOK、というようなゆるいルールで運用しています。たまに、シェアハウスやコアスペース貸切など、特色のある会場で華やかなイベントになるよう意識しています。

f:id:iroppu:20180424011550j:plain

半分くらいは和室。和室は正義。

 

・ルール周知徹底

都内レンタルスペースに比べ、公民館は比較的安価でレンタルできます。その反面、利用ルールもかなり厳しいものとなっています。人数制限・ゴミの処理方法・退出時間の厳守など、会が始まる前、できれば集客時の案内文に記載し、当日のトラブルを防ぎます。トラブルが起きると思い出にノイズが入るので、それを防ぐためのリスクヘッジは、やりすぎることはありません。f:id:iroppu:20180424005419p:plain

 

・会場に音楽を流し、良い雰囲気を出す

これは私の趣味なのですが、iPhoneからBluetoothを飛ばし、会場に音楽をかけています。中盤以降、80人も入った部屋だとさすがに音があまり聞こえませんが、序盤の雰囲気が和やかになる気がします。ちなみに、使用しているBluetoothスピーカーはこれです。ボードゲームを持ち運ばなければいけないので、スピーカーの重量は軽めに。

 

・季節のイベントと混ぜる

12月の会ではクリスマス会と称したミニゲーム大会を、30回記念の周回イベントでは過去の振返りプレゼン会を、8月の会では浴衣割引で参加費0円で懇親会は納涼船で実施、など、簡単にできる季節ネタを多く盛り込み、「前回のゲーム会とはちょっとだけ違う」というスパイスを意識していました。イベントがない月は、食べ物持ち込み可の会場で、出前を頼んでお酒・ご飯付きゲーム会にしたりイベント色を強くすることで、勧誘時に「次はクリスマス会やるから来て〜!」と言えます。このように、勧誘のキャッチとなるきっかけを意識したイベントづくりを行っていました。

 

f:id:iroppu:20180424010047j:plain

懇親会が納涼船の浴衣割引デー。男性も和装が多かった。華やかだったな〜♡

 

観点3:ケア

・来てくれた人に「当日ケア」を行う

初参加の人は、ボードゲーム自体やることが初めて、という人がほとんどなので、当日隣に座ってゲームの説明をしたり、ゲーム説明ができる友人と同じテーブルに座ってもらったりします。ゲームの感覚を掴んでもらったら、あとは説明している友人に任せて、次の人を案内します。80人規模の参加者の時は、3〜4人まとめて案内したり、人狼系の8〜10人一度にできるゲームを開始してもらったりして、ギリギリ回る感覚です。80人規模の参加者で、初参加の方が多い会の場合、私自身はゲームをすることはなく、インスト(ゲーム説明)だけで動き回っていることもあります。

 

・来てくれた人に「アフターケア」を行う

イベント後、帰り道で感想を聞いたり、ゲーム会開催当日〜2日後までに、Facebookメッセンジャー・LINEなどで、当日の撮った写真などを個別に送ります。当日撮った写真は次回来なくても送ってもいいものなので、まず写真を送り、そこから相手の様子を見て、参加した感想を聞いたり臨機応変に行います。また来たいな、と思ってくれてそうであれば、次回ゲーム会の詳細等を送ります。ここはあまりルール化してないところですね。次回の連絡も、グループや、個人メッセージでも事務的な連絡テンプレメールだけだと返信確率が低いので、「資格試験あるって言ってたけど、6/10って大丈夫なんだっけ〜?」のような話題に出た具体的に想像できるイベント+ライトな日程の確認を行なった後に詳細を投げたり、など、タイミングをみて連絡しています。これはもはやゲーム会うんぬんの話ではなく単なるコミュニケーション術ですね。

 

※これを自分の誘った50人以上に対して個別に考えて毎回やってるのか?と驚かれるのですが、ゲーム会直後の2〜3日だけ、コミュニケーションが普段の20倍ぐらいになるだけで、ほぼ無意識にやってるので全然苦ではありません。逆に、常にスマホの通知音が鳴っているので、ゲーム会翌日の日曜日は特に幸せです。それに、ここまでしなくても次回来てくれる方も結構いるので、その方には甘えて、さっと事務的な連絡だけして終わる場合も多いです。相手によって伝え方を変える、という意味では、普段のコミュニケーションとなんら変わらないような気がします。

 

まとめ

以上、私がゲーム会を主催するにあたり、3つの観点で意識していることの詳細でした!今一度、各項目をまとめます。

 

【観点1:人(集客)】

・客層はボードゲーム初心者をメインで狙う

・他の趣味で出会った「趣味の合いそうな」友人を誘う

・来なくなった人に心を痛ませすぎない

・来てくれる人の興味を「事前に」把握しておく

 

【観点2:コンテンツ(ゲーム会)】

・大きめの快適な会場を3ヶ月前に抑える

・毎回違う会場で開催する

・ルール周知徹底

・会場に音楽を流し、良い雰囲気を出す

・季節のイベントと混ぜる

 

【観点3:ケア】

・来てくれた人に「当日ケア」を行う

・来てくれた人に「アフターケア」を行う

 

 

おわりに

f:id:iroppu:20180424003950j:plain

「集客とゲーム会継続のコツ」として、意識的に行なっていること、無意識で行なっていたことを文章にあらためて初めて起こしましたが、いかがでしたでしょうか。これまでで一番想いがつまった(6000文字超!)記事になりました。

 

趣味に対して何もそこまでやらなくても、と思われると思いますし、ほぼ機械的にやってると思うと自分でも恐ろしいのですが、「健全な会を維持する努力」は主催者の必須条件だと考えますし、この方法で健全なコミュニティが世の中に増えるのであれば、これ以上ない喜びと思っています。 

 

ボードゲーム会はもちろん、他イベントを運営されている方にも、何か少しでもご参考になれば幸いです。

 

おまけ

この記事を書くにあたり、過去のゲーム会の写真やデータなどを見返していて、とても懐かしくなりました。私は、自分が主催していたボードゲーム会が好きで好きで、そこに来てくれる人も楽しい人ばかりで大好きでした。振り返る過程で、エモ感情を揺さぶる写真が出て来たので、本筋と関係ないおまけとして追記します。

 

f:id:iroppu:20180424013003j:plain

送別会も盛大にしてもらったんですが、これピクテルのケーキなんです!しかもちゃんと自由の女神が表現されてる!「今後運営をまかせるメンバーに全員スプーンで食べさせていく」というカオスな状況になったけど、そんな思い出も含めて全部好き。

 

f:id:iroppu:20180424013839p:plain

こちらもプレゼントの品。ニューヨークに渡米するのと私が好きだった「キングオブニューヨーク」にかけて「クイーンオブニューヨーク」をメンバーがサプライズで作ってくれてました。その場で開けたら、箱の中には101人分の手書きメッセージ。今までの伝説の回の思い出や、その子を誘った最初思い出が走馬灯のように101人分一気に込み上げて、大泣きしました。

 

「18エネルギーって何? こんな高いカード、場に出てても買わんわ(笑)」「いやいや、このカード内容なんもなくてただイラスト書きたかっただけやん(笑)」と1枚1枚精一杯突っ込みながら読みました。最後までボードゲーマー、いやツッコミ芸人キャラであろうとした私を褒めてくれ、後輩たちよ。これをもらった最後のゲーム会で、私は主催を引退しました。

 

「帰国したときは参加者として参加してくださいね。」ありがとう、その言葉、忘れないから。

 

大切にしていたゲーム会は、人数は減ったものの今もなお続いており、日本のメンバーから送られてくる集合写真を見て、いつもニコニコしてます。 後輩たち、これからもゲーム会の運営、よろしく頼むね。

 

以上、センチメンタルなおまけでしたッ!!!

 

 

ボードゲーム翻訳プロジェクトの感想なんかも書いてます。

 

hirobodo.hatenablog.com

 

最新情報はTwitterでつぶやいています。

ボドゲイム@ゲムマ春(土) C05新作発売 (@bodogeimu) | Twitter

 

その他のアメリカボードゲームショップ紹介記事はこちら。

01. Barnes&Noble

02. the Uncommons

03. Amy's Hallmark Shop 

04. ToysRus Express

05. The Compleat Strategist

06. Forbidden Planet

07. Dinasaur Hill