Hiroのボードゲームあれこれ

アメリカをはじめとした海外のボードゲーム紹介・ショップ訪問記、ゲーム製作記をつづります。

2025年面白かったベストボードゲーム10選

こんにちは、年の瀬をいかがお過ごしでしょうか。お久しぶりです、ボードゲーマーのhiroです。

 

今年は、個人的に妊娠・出産を経験し、激動の1年でした。年の初めに妊娠がわかり、そうとは知らず海外旅行の予定をバンバン入れていたため泣く泣くキャンセル、しかしアメリカのイベントだけは安定期ギリギリなので行ってやろうと10日間の旅行を強行(産婦人科の先生に「英語で診断書書くのは初めてだから校正して」と言われる)、妊娠悪阻になり完全にダウン、非生産的な毎日が悔しくてドイツ語検定を勉強し4級取得(受験記)、こんなに太ってたら出血多量で死ぬかもしれないと脅され本気の恐怖を感じ大麻スラングの記事を執筆、最終的に20kg増加して高熱・嘔吐の中で巨大児を出産、出産後ほぼ1ヶ月で15kg体重が落ち、全身蕁麻疹やここに書けない程とんでもない不調だらけで通院生活、年末までの3ヶ月は育児でバタバタ…とプライベートではとてもアップダウンの激しい1年でした。人間ってこんなに短期間で体重減るんだ。いやーすごかった。

 

さて、肝心のボードゲームに関してですが、こんなに動けない期間が多い中でも、自宅にわざわざ足を運んでくれる方のおかげで、去年よりは確実にペースは落ちましたが、幸いベスト10を選んだり傾向を振り返ったりできるほどには遊べたように思います。それでは早速、ボードゲームに関しても振り返っていきたいと思います。

 

なお、ここから分析モードに入るため、常体(だ・である調)で記載させていただきます。それではレッツゴー!

 

 

今年プレイしたゲームの傾向

重量級ゲーム(新作多め)

相変わらず、重量級ユーロを一番遊んでいるように思う。それも新作。ただ、重量級ゲームを遊ぶのはハードルが高い。英語版やドイツ語版のみ流通しているので、海外から輸入したり、日本語訳がないので翻訳したり、ゲーム自体が高価だったりと、手に入れて遊ぶまでのハードルがとにかく高い。そんなハードルの高い重量級ゲームだが、ゲームを手に入れて遊ばせてくれたり、英語のまま一緒に遊んでくれる友人達などに恵まれているため、自宅会ではメインで重量級を遊ばせてもらっている。8年ぐらいは、もうこのボリュームのユーロがトップ10を占めており、今回のベストボードゲームもここからのラインナップだ。感想は個々のコメントで語るが、遊んだ後の充実度が総じて高く、遊んだ後もずっとそのゲームの事を考えていたりする。90-180分くらいのレンジが好きなのは今後しばらく変わらないのかなと思う。

 

アブストラクト(遠隔)

前述の通り外出ができない期間が多かったため、オンラインでの遠隔アブストラクトを始め、多数遊んだ。アブストラクトはずっと自分の中で「カッコいいもの」であり、美しいゲームデザインやプレイ感、コンポーネントが変わらず大好きだ。毎年、ゲルハルツのそちらも別エントリーでまとめれたらなと思う。(いつもゲームを準備してくれるかどさん、ありがとう!)

以前に主催した2人用ゲーム会でもアブストを多数遊んで紹介しているので、気になる方はそちらをみてね。

 

インディーズ・癖のあるゲーム

重量級ユーロやアブストラクトが大好きだが、インディーズゲームももちろん好きだ。(インディーズゲーム制作サークル「ボドゲイム」にも所属している。)ゲームマーケットにも毎年出展側で参加しているが、ゲーマー歴が長くなった今でも、ゲームマーケットで素晴らしいアイデアの作品に出会うことも多く、インディーズ作品作家のリスペクトも込めて、何点かは毎回購入している。

 

蒸気の時代

名作鉄道ゲーム「蒸気の時代」が依然好きではあるが、今年は蒸気会(蒸気の時代だけを遊ぶオンリー会)にあまり参加できなかったので、去年よりは遊ぶ回数は減った。ただ、蒸気の時代の拡張マップだけで年間40回遊んでいるというのは、通常のボードゲーマーと比べると相当遊んでいる方だと思う。そのため「今年よく遊んだゲーム」として記録しておく。まだまだ、飽きそうにない。アメリカの友人とやっているNeon Comet Gamesでは、今年は「スターリン主義ロシア」というMichael Webbによる名作マップを1作品のみ出版した。遊ぶペースは落ちたが、新作のアイデアがいくつかある。来年は時間を見つけて開発にも精を出したい。

 

さて、ここから2025年に初めて遊んだボードゲームの中から10個の面白いボードゲームとその紹介に入りたいと思う。

 

Bier Pioniere

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ビールを醸造して出荷し販売するゲーム。デザイナーはThomas Spitzer。彼は「Ruhrschifffahrt 1769-1890」というゲームを2012年にSpielworxxから出しているようで、こちらも重量級だった。それから何作か出しているが、2023年の本作がおそらく1番のビックヒット作品である。

 

さて、このゲームのコアはワーカープレイスメントだが、ワーカー個々にレベルがあり、そのレベルが達していないと置けない場所が多々ある。小さいミープルさんもおり、うまく置いた際にミニボーナスがもらえる。6種のビールを作る個人ボードがある。ビールを製造して出荷するというストレートなテーマと、ゲームで行う実際のアクションがマッチしていてかなり満足感がある。全体の要素が綺麗にまとまっていて、癖のある作品が好きな人には向かないかもしれない。が、これは間違いなしの名作だと太鼓判を押したい。一つ難をつけるとするならば、カード効果に強さの大小があり、初見ではあまり見切れないので、経験者が有利かなと思う。ここはリプレイありでの設計かもしれない。

SETI: Search for Extraterrestrial Intelligence

SETI:地球外知的生命体探査』として日本語版が発売された。こちらは日本語版が発売される前の英語版。デザイナーは、「ガリレオガリレイ」と同じTomáš Holek。遊ばせてくれた友人によると、チェコの出版社CGEのデベロップチームがとても優秀で、このゲームもその方々のデベロップ力のおかげなのだとか。

 

このゲームは、衛星を飛ばして惑星探索を行う。カード要素の多さに運要素がやや強いゲームなのだろうか?と危惧していたが、そんな事はなく、綺麗にちゃんと面白かった。ランダムに選ばれたエイリアンが襲来するイベントがあるのだが、そこがややネメシスのような(ネメシスLOVEの人はごめんなさい)大味な運要素を含み、あまり好みではなかった。しかし、個人ボードをアンロックする箇所のジレンマと、全体のバランスの良さで、その大味部分の苦味がかき消えて、ゲームが終わる頃には満足度がとても高かった。年始に遊んだが、年末まで(これは今年のベスト10入りだな)という気持ちが消えなかったので、きっと名作なのだと思う。連続で名作を作るこのゲームデザイナー、恐ろしいなぁ。

Tycoon: India 1981

デザイナーはSidhant Chand。彼の他の作品はFortify (2023)しか遊んだことがないが、12作品を出しているデザイナーのようだ。キックの豪華トークン入りで遊ばせてもらった。

 

借金や競りがあるがその割合は少なく、メインはワカプレ。他のランクイン作品と比べると、細かい部分の癖がいちいち強く、記憶に残るルールであった。特定の条件を満たさない場合、最後に足切りされるため点数計算さえしてもらえない無慈悲な箇所もある。今風の要素多めユーロに、癖の光る要素を多々詰め込んだ重ゲー。黒を基調とした渋めのアートワークも好みである。

 

Shackleton Base: A Journey to the Moon

先に伝えたいが、この写真はアメリカのイベントでデザイナーFabioと同卓して遊んだ、幸運すぎるセッションの写真である。なので、評価は冷静とは言えずバイアスがかかっている可能性がある。

 

大型新人Fabio・Mandela氏のデザインと、奇抜なタイトルということで2024年のエッセンで一躍話題となっていた今作。ポンデリングのような見た目も、他のゲームにない個性を放っていた。共通ボードとなっている月面を開拓してゆき、個人ボードをアンロックしていく。6方向あるアクティベートが楽しい、タイミングが大事な場所を取り合うワカプレ。小目標や色ボーナスなど、これぞFabio節、要素込み込みの満点のユーロ。別モジュールだと全然違うゲームになるそうなので、別モジュールも試してみたい。

 

余談だが、本ゲームを遊んだ際は、アメリカの重量級ボードゲームYouTube配信者であるEdward(本ゲームを複数回プレイ済み)にインストを受けたため、かなりスムーズにルールを理解することができた。デザイナーと遊んだのに他の人のインスト?と思われるかもしれないが、Edwardが群を抜いてインストが上手い事に加え、Fabioはルールデザインは得意だが、ルール説明は苦手なのだそう。本ゲームのルールブックを1から読解するのは難解だと思われるので、プレイ済みのゲーマーに遊ばせてもらうことをお勧めする。

 

Ayar: Children of the Sun

12月に遊んだ作品でギリギリにランクイン。こちらも、上記のシャクルトン・ベースと同じデザイナーの、FabioとMandela氏のタッグであり、Merv・ Sankore に続く3部作の最終作品である。アートワークはイアン・オトゥールの美しいグラフィックだ。

4色の神がそれぞれ1方向に歩いていくメインボード。ラウンドの最後に、1番進んでいない神が脱落してゆく。個人ボードにもその4色の神+金(ワイルドカラー)がおり、その中から1色の神を選び行・列を起動。メインボードの同じ色の神を進めると、進んだマス以前にあるアイコンを起動。という何ともシンプルな仕掛け。だが、個人ボードで起動する行・列によりアクションポイントが異なり、どのようにマスを空けていくかが今後のアクションにも効いてくる。空けたマスには太陽と月の数字が書かれており、太陽の決算・月の決算、それぞれが起きるタイミングで得点が入る。太陽と月それぞれで得点トラックを進めるが、合算ではなく、少ない方のみが得点となるため、片方のみ上げず両方満遍なくアップしていく必要がある。先述の通り神がラウンドに1色ずつ脱落していくため、起動する神がラウンドごとに減り、どんどん収束していくデザインになっている。ゲームが進むにつれアクションポイントがどんどん強化されて行くにもかかわらず、ワーカーが少なくなっていくため何度もお得なアクションが打てない。そんなジレンマが楽しい作品。

The Druids of Edora

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ステファン・フェルト先生のシンプル枠。シティ・コレクションの重量級ゲームのデザイナー、という所からフェルトを知ったため、こんなに軽いゲームを令和に出すなんて驚いた。

彼の直近の作品「シボリューション」でもおなじみ、振り直さないダイスプロットである。13個のダイスを初めに振り、そのダイスたちをワーカーとしてメインボード上にプロットしていく。13手番で終わるので、個人ボードを強化してたらあっという間。フェルトトラックも健在、ボードでやれる事も少しずつ新しさがある。もう一回やりたい、もう一度やっても90分で終わるし、のような精神的軽さがある。フェルト先生の過去作も多数遊ばせてもらったが、「これはオールタイムベストだ!」というほどハマったのはマラケシュだけだった。が、この「The Druids of Edora」は中量級の中でも洗練されていると思う。いやあすごい、フェルト先生。これからも彼の作品は追ってみたい。

Ahau: Rulers of Yucatán

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2023年に発売したらしいゲームを遊ばせてもらった。マヤ文明の神がテーマである。デザイナーはTamás Oláhという方で、2023年からゲームデザインを始めた比較的新しいデザイナーで、他にもこのようなマヤ文明がテーマのゲームを作っているようだ。このゲームはビジュアルが際立っており、神を祀ってある祭壇だけが立体で個別に立っていて、このゲームにおける神の重大さがわかるだろう。

 

さて、このゲームでは、メインボード上の土地を争う。土地を囲んでいるライン上にワーカーの配置場所があるが、そのワーカー数などで勢力を競う。エリアは5つと少ないが、そこでの戦いに勝つと、神のチップがもらえ、個人ボードに配置できる。このチップの隣接ボーナスも楽しい。メインで負けたプレイヤーは隣接のエリアに飛ばされるので、どこで戦いを挑むかも重要である。特定の条件を満たすと神を味方につけることができ、能力を発揮する。それもまた楽しい。個性的なゲームとして強く印象に残っている。

 

Fromage

フランスでチーズを作ろう!美しい木製ボードの豪華版を買った友人に遊ばせてもらえた。デザイナーは「Between Two Cities」や「The Search for Planet X」のMatthew O'Malley。

 

自分の手番では、目の前のボードにチーズの形のワーカーをプロットするだけである。しかし、ラウンド終わりに回転して、チーズの向きがこっちを向いているワーカーが返ってくる。すなわち、手番でどの向きでチーズを配置するかによって(強いアクションはなかなかチーズが返ってこない)いつワーカーが帰ってくるかが決まる、私的「このシステムがスゴイ!2025」にランクインするゲーム。カード倍増能力でうまく回り。私が好みとする重量級ゲームに比べるととてもシンプルなゲームだが、同時アクション処理で時間が軽く、それでいて満足度が高い。美しさも相まって、綺麗で文句の出ないタイプのゲーム。

 

Dilluvia Project

2015年に生まれ落ちたSpielworxx作品。空中都市の開発を行うワーカープレイスメント。新作ではないが、「Raising Chicago」を遊ぶ際、同シリーズであるこの「Dilluvia Project」の続編が「Raising Chicago」という事を発見し、では前作を遊んでおきましょう、という事で幸運にも遊べることに。デザイナーも同じ方である。

 

キツめな資源で土地を予約し、建物を建築する。最後は庭の隣接得点と標準的な得点方法だが、各建物は即時ボーナスではなく収入を生む。ボードゲームでよくある収入システムだが、このゲームではアクションによって収入で何がもらえるかが切り替え可能なところが個性的。どこで「資源」→「勝利点」に切り替えるかがキモ。タイル配置のボード上の周りにあるアクションスポットはワカプレなので、自分がいきたい時に他人がいて入れない、などの取り合いがシビア。親分的な位置付けの強ワーカーを置くことで、その場所の強アクションができる。個人ボードの収入表の動きも個性的である。Spielworxx作品をシリーズで褒めている友人がいたが、確かに、この独特な感じがクセになりそうである。

Phraya

最後は、マニアック枠のこの「Phraya」。デザイナーはAlberto Millán。BGGで調べたところ、本作以外は遊んだことがなかった。ちなみに、これを買った友人に「どこでこんなの見つけてきたんですか?」と聞くと、インドのAmazonだそう。「amazon.in」で買ってる人を初めて見た。すごいアンテナの持ち主である。

 

さてゲームの内容は、船による行商がテーマである。資源を集めて個人ボードの船に乗せ、得点に変換する、テーマとしてはよくあるやつである。ただ、資源で勝利点を取るだけではなく、お金でカードを買ったりして能力をブーストできる。メインボードでの船の動きを1歩多くしたり、株価を調整する際に2マス多く調整できる能力が買えるのだ。そのブーストが面白かった印象。悪いところをあげるとするならば、1手番ごとに様子が変わるため先に行動計画ができず、ダウンタイムが掛かるところがネックか。3人で遊ぶことをお勧めしたい。

去年のベストボードゲーム10選

1857
Age of Steam: South Devon Railways
陰陽差事
Barcelona
Inferno
Daitoshi
Unconscious Mind
Space Station Phoenix
Ur:1830 BC
Galileo Galilei

 

気になったので2024年のベストを調べてみたら、このようなラインナップに。ブログは書いていなかったのでXより抜粋。どれも印象的な作品であった。その年の色が出ていて良い。

 

余談

ベスト10を選ぶにあたり、選外となった作品についても振り返ってみると、私はエリアマジョリティがあまり好みではなかったということを知った。友人に軒並み好評だった「Raising Chicago」も、独特な競りに心惹かれたが、メインのエリマジョ部分が好きになれずにランク外となった。自分のオールタイムベストのゲームを見ても、エリアマジョリティはあまり入ってなかったように思う。ベストゲームには、ワーカープレイスメントがとても多い。ベスト10の傾向だけでなく、選外のゲームにも目を向け、自分の嗜好をより深く言語化するヒントを得たい。

 

さいごに

わかってはいたが、重量級ばかりになった!2021年のベストゲーム紹介ブログ以来、ベストゲームを選ぶブログは記載していなかったが、定点記録として続けると見えることが多い。(忘れっぽい私には持ってこいである)ブログのエントリーとしては4年も空いてしまったが、今回をきっかけに、年末に振り返る習慣は今後も続けたい。内容が薄くてもやるぞ!

 

最後に、これらゲームを一緒に遊んでくれた友人に大きな感謝を述べたい。ありがとう!

 

最近最も読まれている記事はこちららしい。ボードゲームが発端だけど、結果的にボードゲームに関係ない記事になりすぎて、他の界隈(?)からもコメントがあってウケる。命の危険を感じた時に鍛冶場の馬鹿力で書いたのでよかったら。

hirobodo.hatenablog.com